肌寒さが身に染みる冬隣り。みなさまいかがお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、先月のブログでは、ドラッカーの「顧客は誰か」という問いをご紹介しました。その続きを読んでみます。
次の問いは、「顧客は何を買うか」である。GMのキャデラック事業部の人間ならば、自分たちの事業はキャデラックを生産し販売することであると考える。しかし、四〇〇〇ドルのキャデラックを買う者は、交通手段を買っているのか、それとも富のシンボルを買っているのか。言い換えると、キャデラックはシボレーやフォードと競争しているのか、それともダイヤモンドやミンクのコートと競争しているのか。
『現代の経営(上)』 p69
1954年に書かれた本ですから、4000ドルという金額はその当時のことです。キャデラックとダイヤモンドを同じ土俵に上げたのはドラッカーの慧眼ですね。
似たような事例として、最近の若者の車離れについて、自動車はスマホと競争しているのではないか、という話があります。ドライブをしなくても、スマホで話をしたり、チャットをすることで充分用が足りてしまうから、自動車を買わない、ということです。
結婚披露宴の競合相手が新婚旅行ということもありえます。結婚披露宴よりも新婚旅行に費用をかけたい、という思いからです。かつては親の意を汲んで、盛大な披露宴を開くという考え方がありました。その場合、ご両親のご友人や仕事関係の方が招待客の大半を占めていました。それはそれで、慣習のようなものでしたし、親孝行でよいことだったと思いますが、昨今は義理やお付き合いをもとにした行事はだんだんと省略される傾向にあるように思います。
「顧客は何を買うか」というと、競合他社の動きにばかり目線がいってしまいますが、実は全く違うところに競合相手がいるかもしれません。お客さまの立場になるということが重要だと感じております。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。お身体ご自愛くださいませ。

参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ささやタイムズ記事