利益は目的か?結果か?

2019年08月01日

 残暑お見舞い申し上げます。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 
 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、企業にとって利益は目的とすべきものか、結果として生まれるものか、という議論がされて久しいですね。時代ごとに論調は変わってきましたし、みなさまもさまざまなお考えをおもちかと存じます。特に、上場されている企業の場合は、株主の要求がありますから、利益を追求することは避けられないものと思います。 

 ドラッカーは利益について、次のように述べています。

 企業にとって第一の責任は、存続することである。言い換えるならば、企業経済学の指導原理は利益の最大化ではない。損失の回避である。企業は事業に伴うリスクに備えるために、余剰を生み出さなければならない。リスクに備えるべき余剰の源泉は一つしかない。利益である。
 しかも、事業は自己のリスクだけに備えればよいわけではない。利益をあげられない他の事業の損失の穴埋めにも貢献することが必要である。社会には、いくつかの企業が損失を出して消滅していくという経済的な新陳代謝が不可避である。それこそが、自由で柔軟、かつ開放された経済の維持のための条件である。
 企業は、教育や防衛などの社会的に費用に貢献する必要もある。税金を納められるだけの利益をあげる必要がある。
 事業の拡大のための資金を生み出す必要がある。そして何にもまして、自らのリスクを賄うに足る利益をあげる必要がある。 
 要約するならば、利益の最大化が企業活動の動機であるか否かは定かではない。これに対し、未来のリスクを賄うための利益、事業の存続を可能とし、富を生み出す資源の能力を維持するための最低限度の利益をあげることは、企業にとって絶対の条件である。

              P.F.ドラッカー 『現代の経営[上]』 p60-61


 ドラッカーによれば、利益は目的とすべきものではなく、企業が事業を発展させていくためのコストであります。経済全体を考えた場合には、利益が出ている会社がなければ、経済の新陳代謝が進まないと指摘しているのです。
 利益が企業の動機であり、目的であるとするならば、経営者は本業よりも財務的なテクニックに走り、より簡単な方法で利益の数値を上げることを考えることになるでしょう。私も儲け話のような事業を紹介されることがありますが、その類のことです。

 利益は企業及び社会にとって絶対に必要なものでありますが、始めから追い求めていく数字ではないのです。私どものような中小企業は、徹底してお客さまお役に立つことを考えていかねばなりません。よい仕事の結果が利益になるわけです。厳しく指摘してくださる外部の株主の方々がおられないことに甘んじてはいけないと思っております。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ささやタイムズ記事

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