成果をあげる意思決定とは

2018年03月01日

 日増しに暖かくなり、早春の息吹を感じる今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、私は経営者として毎日何らかの意思決定をしています。意思決定には、不安や悩みを感じることがありますが、それが経営者の仕事です。
 ドラッカーは意思決定について次のように述べています。

 成果をあげるには意思決定の数を多くしてはならない。重要な意思決定に集中しなければならない。個々の問題ではなく根本的なことについて考えなければならない。問題の根本をよく理解して決定しなければならない。不変のものを見なければならない。したがって、決定の早さを重視してはならない。あまりに多くを操ることはかえって思考の不十分さを表す。何についての決定であり何を満足させるかを知る必要がある。形にこだわることなく、インパクトを求めなければならない。賢くあろうとせず、健全であろうとしなければならない。

                    『経営者の条件』p154より引用


 まず、意思決定の数を多くしないために、経営理念をもち、それに基づいて期初に年間計画を立てることが必要です。これらがあれば、何かが発生した都度判断に迷う必要がありません。計画通りに進めればいいわけです。理念や計画が社内に浸透していれば、現場で発生する小さな問題についても、いちいち社長に相談しなくてもその場で意思決定ができます。特例ばかりを求めてくる社員は理念や計画を軽視しているということも分かります。

 次に、意思決定の本質についてです。現場の意思決定を見ると、中には、自分だけ利益を得ようとするもの、自分のミスを取り繕うようなもの、他者を追い詰めるようなもの、が紛れ込んでいる場合があります。何のための意思決定で、誰を満足させなくてはならないか、という本質を考えていないからです。自己中心の意思決定は見透かされます。健全であろうとしなくてはならない、とドラッカーが指摘したのはこの意味だと思います。

 その場しのぎに思いついた意思決定は、早晩脆くなり、再検討が必要となります。見かけはよくても健全ではないからです。自分だけよければいい、という雑念が、本質に切り込まなくてはならない意思決定の根本を揺るがします。経営者に高い倫理観が求められるのは、このようなことが生じやすいからといえます。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
 
 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

  

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