春の陽気が待ち遠しい今日この頃、みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、政府は「人づくり革命」と「生産性革命」を政策の柱として、予算を重点的に配分していくことを表明しました。目標としている名目GDP600兆円達成のために、2020年度までの3年間を「生産性革命集中投資期間」とし、税制・予算・規制改革などを進め、企業による設備や人材への投資を促していくそうです。
人口減少が止められない我が国において、GDPを増やすためには、移民を受け入れて人口を増やすか、生産性を上げるか、のいずれかが必要です。
企業が生産性を上げるためにはどのようにしたらいいのでしょうか。ドラッカーは次のように述べています。
仕事を生産的なものにするには、仕事が客観的な存在であり、スキルや知識は、仕事側ではなく労働側の問題であることを認識しておかなければならない。なぜならば、仕事がそのようなものであるからこそ、仕事を生産的なものにすることに体系的に取り組むことができるからである。
人をして成果をあげさせるための第一歩は、仕事を生産的なものにすることである。仕事が要求するものを理解すれば、それだけ仕事を労働という人間活動に適合させることができる。仕事を理解すれば、それだけ人により多くの自由を与えられる。
『マネジメント(上)』p251-252より引用
この文章を理解するためには、まず、仕事と労働とは別のものであることを理解しなくてはなりません。現実の世界では、人が労働することを通じて仕事をしているので、仕事と労働を混同しがちです。
仕事とは、手順と成果が明確に示されており、客観的なものです。一方、労働とは、ある一人の人間によってなされるものですから、一人一人のスキルや知識やモチベーションによって異なるものです。
生産性を上げるためには、まずは仕事を体系的に把握し、生産的な手順に改善することです。個々人のスキルやモチベーションを突き詰めていくのはその後のことです。生産性の向上は労働の質によって左右されるものであってはならないのです。
経済が緩やかに拡大しているいまのうちに、次の手を打っておく必要があります。生産性を高めるための前向きな投資を進める明るい年にしたいものです。
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参考文献:
『マネジメント 課題、責任、実践(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)

Hitoshi Yonezu at 10:00
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