人事の四原則

2017年12月01日

 年の瀬を迎え何かと忙しい毎日をお過ごしのことと存じます。いかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、企業において人事は大変重要であり、かつ大変難しいものです。当社においても人事の問題はよく発生し、その度に改善にとりかかりますが、なかなか思い通りにはなりません。悪い人事は結果的にお客さまにご迷惑をおかけすることになります。

 ドラッカーは「人事ほど長く影響しかつ取り消しの難しいものはない」と述べ、人事について四つの原則を紹介しています。

(1)ある仕事につけた者が十分な成果をあげられなければ、人事を行った自分の間違いである。
(2)責任感のある者が成果をあげられるようにすることは、経営陣の責任である。
(3)人事は組織そのものの能力を左右するため、正しく行われなければならない。
(4)外部からスカウトしてきた人間にはじめから新しい大きな仕事を与えてはならない。
   
          『P.F.ドラッカー経営論集』p178-179より引用


 これらの原則は当たり前のことのように思えますが、私も実際に何度も失敗してきました。

 (1)について、Aの職場では全く元気がなかった社員が、Bの職場へ移動させたら急に元気になって、成果を上げ始めたということがありました。似たような仕事でも店の雰囲気や仕事の内容はだいぶ違うので、本人に合っていたのはBの職場だったのです。どの部署で勤務するかということについて、本人の自由度は低いので、人事を行った者の責任です。

 (2)について、有能な経営者、上司がいなければ、部下は力を発揮できません。ある従業員の言い分や行動が正しいにも関わらず、周りの従業員からいじめられて意見が全く通らなくなってしまっているような場合、企業が正しい者を助けなければ、その者は早晩辞め、組織は壊れるでしょう。経営者は部下が成果をあげられるように、環境を整えたり、適切に援助したりしてあげなくてはなりません。

 (3)について、人事は企業の将来を左右するものです。上司のえこひいきや好みで人事が決まるのだとしたらやがて組織は崩壊します。たとえ社長の家族であろうと、その仕事に向いていないなら配置転換をせねばなりません。社長や上司に愛人がいるのだとか、人事に裏取引があるのだとか、ドラマのような話も聞きますが、そのようなことがあるのだとしたら最悪の組織です。人事を行う者には人間性が求めれらます。

 (4)について、新事業を始めるにあたり外部からその道の専門家をスカウトしてくるという話はよく聞きますが、その人に丸投げをしてうまくいくのでしょうか。私の経験では全くうまくいきませんでした。どんな専門家であっても小さな仕事から始めてもらい、会社として仕事ぶりを注視し援助をしながら、だんだんと仕事の範囲を広げていってもらうことが必要です。

 お客さまのお役に立つために、企業では正しい人事が行われなくてはなりません。「人事を正しく行う」ということは、企業理念に立脚し、企業の利益追求や個人の役得にまみれていない、公平で、成果の上がる人事が行われることではないでしょうか。経営者や上司の人格が問われるところです。

 一年間のご利用に心より御礼を申し上げます。みなさまどうぞよい年をお迎えください。来年もご指導ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

 参考文献:
 『P.F.ドラッカー経営論集』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

  

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ささやタイムズ記事

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