秋たけなわの好季節となりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、ビジネスでの名刺交換の際には、私は〇〇のマネジャーですとか、〇〇のマネジメントをしています、などという言葉が飛び交います。では、マネジメントの意味とは何か、マネジャーとはどんなことをする人のことを言うのか、考えたことはありますか?
マネジメントの父と呼ばれるドラッカーからひも解いてみます。(マネジャーなどマネジメントする立場の人のことを総称してマネジメントとも呼びます。)
かつてマネジメントは、「人の仕事に責任をもつ者」と定義された。この定義は当時としては役に立った。マネジメントの機能をオーナーの機能と区別した。マネジメントの仕事が、分析、研究、改善の対象となる独立した仕事であることを明らかにした。(中略)
だが、この定義はあまり満足できるものではなかった。満足できたことなど一度もなかった。組織には初めから、明らかにマネジメントでありながら、しかも責任ある立場にありながら、人の仕事に責任をもたない人たちがいた。
『マネジメント(中)』 p16-17より引用
「人の仕事に責任をもつ」ということでは、仕事の成果よりも、仕事を進めるための要素に責任をもつという意味になってしまいます。極端に言えば、人の仕事ぶりさえ見ていれば、成果はどうでもよい、ともとれてしまいます。
「人の仕事に責任をもつ者」という従前の定義では、マーケットリサーチ担当のマネジメントとは、「マーケットリサーチャーのマネジメント」ということになる。しかし、われわれが通常意味しているのは「マーケットリサーチのマネジメント」である。この通常の意味こそ、マネジメントの責任を正しく理解しているものである。
『マネジメント(中)』 p17より引用
マネジメントがすべきことは、マーケットリサーチャーを管理することではなくて、マーケットリサーチの結果に責任をもつことです。その中にはマーケットリサーチャーの働きぶりを評価することももちろん含まれます。
「上司による部下という人間の管理」は本当の意味でのマネジメントではありません。人を管理するのではなく、成果に責任をもつことがマネジメントです。
マネジメントの人間を見分ける基準は、命令権の有無ではない。貢献の責任の有無である。権限ではなく機能がマネジメントを見分ける基準である。
『マネジメント(中)』 p18より引用
おれが部長だ、と部下を叱って威張っている人はマネジメントではありません。仕事で貢献して、部の成果をあげる人、その部の成果に責任をもつ人がマネジメントです。
マネジャーとは地位の名称ではないのです。マネジメントをするということが大変重い仕事であることが分かります。
いつも当社をご利用いただき、ありがとうございます。今月もご指導のほどよろしくお願いいたします。
参考文献:『マネジメント 課題、責任、実践(中)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)

Hitoshi Yonezu at 10:00
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