人間的な真摯さ

2016年03月01日

 日増しに暖かになりましたが、みなさまいかがお過ごしですか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 最近、国民的な人気を誇っていたタレントや将来を嘱望された若手国会議員が、私的な行動で不祥事を起こし、大きな話題となりました。

 犯罪ではないかもしれませんが倫理的な問題です。これだけ大きな話題になるのは、社会的に重要な地位にある人物に対して、国民が崇高な姿を思い描き、立場にふさわしい行いを求めているからだと思います。

 企業内における経営管理者の立場について、ドラッカーは次のように述べています。

 経営管理者は部下とともに生き、部下の仕事を決め、部下を方向づけし、部下を訓練し、部下の成果を評価し、しばしば部下の将来を左右する。商人とその顧客、自由業者とその顧客の間に必要とされているものは、仕事上の真摯さにすぎない。
 しかし経営管理者であるということは、親であり教師であるということに近い。そのような場合、仕事上の真摯さだけでは十分ではない。人間としての真摯さこそ、決定的に重要である。

            『現代の経営(下)』 p221より引用 

 
 商取引で求められる真摯さと、上司と部下との関係において求められる真摯さは同じものではありませんでした。上司と部下との関係は利害だけではないのです。上に立つ者には「人間としての真摯さ」が必要です。仕事ができるだけでは経営管理者として不十分で、部下から尊敬される人間性が求められます。

 就中、社長ともなれば、部下からはさらに厳しい視線が注がれています。スター精密の佐藤肇社長のご著書から引用します。

 もし読者の会社の社風がすばらしいと、外部からの評判であれば、社長は今の行き方を自信をもって、進めていただきたい。しかし、ちょっと気になるような評判を耳にするようなことがあったら、その原因は社長自らがおつくりになっていると自覚してほしいものだ。
 すなわち、社長の器、あるいは社長の人格が、社格を決めると言っても過言ではないということである。

     『社長が絶対に守るべき経営の定石<50項>』 p411-412より引用


 佐藤社長はどんな経営環境でも会社と社員を守る「鉄人社長」として知られている方です。

 経営を術と捉えてテクニックに溺れる、ということなく、人の道に反することのないよう社会のため、従業員のためと、あらゆる人の道に通じるよう、いわば経営道を自らのなかで築くことができれば、会社というのは自ずと良いものになっていく。
 だから、スター精密という会社を率いていく以上、我々は常に人格を高め、経営道を極めていく努力を怠ってはならない。

     『社長が絶対に守るべき経営の定石<50項>』 p412-413より引用

 
 これは佐藤社長のお父様が残してくださった言葉だそうです。

 私は数字を追い求めていくよりも、社会のため、従業員のため、どなたかのお役に立つ、という志をもって真面目に仕事に向かっていくことのほうが大切だと考えます。その方が従業員にとっても、やりがいや生きがいがついてくると思っています。
 リーダーの背中は常に見られています。ずるく仕事を進めようとしたり、裏表があるようなやり方をしたりしていると、やがて見透かされることになります。自分や社内にそのようなことが発生していないか、心して行動いたします。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。

 
 参考文献:
 『現代の経営(下)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 『社長が絶対に守るべき経営の定石<50項>』 佐藤肇 (日本経営合理化協会)
 

  

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ささやタイムズ記事

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