マーケティングの八つの現実

2015年11月01日

 枯葉舞い散る時節となりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 「マーケティング」というと、もう使い古された言葉のように感じますが、では具体的に何のことですか?と問われると、答えにくいのが本当のところではないでしょうか。

 ドラッカーは1964年の著作『創造する経営者』で次のように述べています。

 今日マーケティングと称されているものの多くは、せいぜい、販売予測、出入庫、広告を統合した体系的販売活動に過ぎない。もちろんそれはそれでよいことである。
 しかしそれらのマーケティングは、依然としてわが社の製品、わが社の顧客、わが社の技術からスタートしている。内部からスタートしている。

            『創造する経営者』 p117-118より引用 


 マーケティングが販売のための市場調査や広告活動のことだけを指すのであれば、冒頭の問いに対する答えも難しくはありません。

 いまやお金さえ払えば売上や利益を上げるための怪しげなマーケティングの手法はいくらでも手に入れることができます。それらは表面的なテクニックです。短期的な結果は出るかもしれません。ただ、そのような活動が本当の意味で企業を繁栄させ、世の中のためになるのかどうか?です。

 ドラッカーは「マーケティングの現実」として次の八つを紹介しています。

 (1) 顧客と市場を知るのは、顧客のみ
 (2) 顧客は満足を買う
 (3) 競争相手は同業他社にとどまらない
 (4) 質を決めるのは企業ではない
 (5) 顧客は合理的である
 (6) 顧客の企業に対する関心は些細なものである
 (7) 決定権をもつ者、拒否権をもつ者
 (8) 市場や用途から顧客を特定する

             『創造する経営者』p118-129より引用


 自社をとりまく状況は分かっているようで、実は分かっていません。

 「組織の成果は外部にしか存在しない」というドラッカーの言葉があります。

 市場の現実からいえることは一つだけである。すなわち、事業にとって重要なことは、顧客の現実の世界、すなわちメーカーやその製品がかろうじて存在を許されるに過ぎない外部の現実の世界を知ることだということである。

             『創造する経営者』 p129より引用

 
 よい商品をつくったぞ、よいサービスを提供しているぞ、と喜んでいるのは企業の勝手です。お客さまには全く関係がありません。

 ときどき飲食店の親方が「おれが作った料理だ!」といばっている様子を見かけることがありますが、自己満足ですね。
 われわれの商品は「かろうじて」市場に存在を許されてるわけです。お客さまの現実は常に変化します。お客さまや社会の役に立たなければマーケティング活動の意味はないのです。
 企業としてはマーケティングを便利な手法としてとらえるのではなく、むしろ達成すべき目標として考え、謙虚に自分に問いかけていかねばなりません。

 いつも当社をご利用いただき、ありがとうございます。今月もご指導のほどよろしくお願いいたします。

 参考文献:
 『創造する経営者』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 


  

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