働く人と会社の利益

2015年02月27日

 P.F.ドラッカーの『現代の経営[下]』より引用いたします。

 企業は適切な利益をあげつつ活動しなければならない。このことは、企業にとって社会全体に対する第一の責任とあるとともに、自らとそこに働く者に対する第一の義務である。したがってマネジメントは、働く人が利益を有益なものとするところまではいかなくとも、まさに彼ら自身の利害に関わる必要不可欠なものとして受け入れるようにするための方法を、なんとしてでも見つけなければならない。

                『現代の経営(下)』 p115より引用


 利益は企業の目的ではなく、企業存続のための条件である・・・・・・とはドラッカーの有名な言葉です。

 利益がなくては企業は存続することができません。しかし、利益のために企業は存在しているわけではありません。

 私はドラッカーのこの考え方に賛同しますが、ここは意見の分かれるところで、人によっては企業の目的は利益を生むことだ、とはっきり表明している経営者もいます。

 いずれの考えであっても、企業が利益を生むことは社会に対しての責任であり、そこに働く者に対しての義務であることには違いがない、と思います。

 問題は、働く人の関心は自分が手にする賃金にあり、企業の利益にはないことです。所属する企業が利益を上げるよりも自分の賃金が高いほうがいい、と考えるのはごくあたりまえのことです。経営者の視点とずれているところです。

 ドラッカーが、「マネジメントは、働く人が利益を有益なものとするところまではいかなくとも、まさに彼ら自身の利害に関わる必要不可欠なものとして受け入れるようにするための方法を、なんとしてでも見つけなければならない」と書いたのはまさにその通りです。

 ドラッカーはこれをマネジメントの仕事であると指摘しました。この時点でドラッカーの考えは、社会主義とか資本主義といった体制の枠組みを超越しているのです。

 ここを解決しない限り、企業とそこで働く人は同じ目標に向かって進んでいけないことになってしまいます。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 『現代の経営[下]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社) 
 

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ドラッカー

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