時間の金銭的価値

2015年01月05日

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は大変お世話になりました。誠にありがとうございます。本年もみなさまのお役にたてるよう一生懸命努力いたします。引き続きご愛顧のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、年頭にあたり、時間の価値について考えてみました。

 ドラッカーは『経営者の条件』において、時間は普遍的な制約条件である、と述べました。

 時間は特異な資源である。主要な資源のうちでは、資金は豊富にある。経済発展や経済活動の阻害要因になっているものは、資金供給ではなく資金需要であるとさえいってよい。もう一つの資源である人材は、雇うことができる。ところが時間は、借りたり、雇ったり、買ったりして増やすことができない。
 時間の供給は硬直的である。需要が大きくとも供給は増加しない。価格もない。限界効用曲線もない。簡単に消滅し、蓄積もできない。永久に過ぎ去り決して戻らない。したがって時間は常に著しく不足する。

           P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p46-47より引用


 時間が取り換えのきかない資源であることは頭では分かっているのですが、金銭的な価値とは明示的には連動していないので、気を抜けば無駄に消費してしまうことも多いと思います。

 松岡真宏さんは『時間資本主義の到来』において、時間の価値を金銭的な価値と結びつけて説明しています。

 時間資本主義の時代においても、需要と供給で価格が決まるという原則は変わらない。しかし、これからは物やサービスを選ぶ際に、「時間価値」という新しい選択要素が組み込まれる。価格とその物・サービスから得られる満足度が見合っているだけでなく、時間制約から抜け出せる付加価値を提供する物・サービスほど需要が高まり、価格は上がっていく。

      『時間資本主義の到来』 p 64より引用

 
 松岡さんの指摘する時間価値とは次の二つです。

 1.その物やサービスを使うことによって時間が短縮でき、有意義な時間が生み出される=「節約(saving)時間価値」 
 
 2.その物やサービスを利用することによって、有意義な時間が生み出される=「創造(creative)時間価値」

      『時間資本主義の到来』 p 64-65より引用


 1に該当するものは、すすぎ時間を短縮できる洗剤、求めるニュースだけを配信してくれるアプリ、電子書籍、コンビニなどであり、2に該当するものは、よい雰囲気でコーヒーを飲めるスターバックス、たくさんの選択肢がある新宿伊勢丹のメンズ売り場、居心地のよいホテルや旅館などです。

 これらの視点は商売を展開する側のために提示されたものですが、時間を使う側としても切り口は同じです。

 1.時間を生み出す。時間のかたまりを作るために、便利なサービスや仕組みはどんどん使う。間に挟まった細切れの時間も有効に活用する。 

 2.まとまった時間ができたなら、その時間の目的にあった正しい選択をして、効果的に生かす。仕事であっても遊びであってもその時間内に最大限の成果をあげる。


 今年私は年男になり、人生の後半であることをいままでよりも強く意識しています。時間を提供する企業としてはお客様にご満足いただけるように、時間を消費する個人としては自分が納得できるように行動してまいります。

 みなさまにとってすばらしい一年になりますことを心よりお祈りしております。寒さ厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
 
参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 『時間資本主義の到来』 松岡真宏(著) 草思社
 


  

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