顧客の創造とは

2014年12月01日

 年の瀬もいよいよ押し詰まってまいりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 あっという間に一年が過ぎたような気がします。なすべきことはたくさんあるのですが、追いついていません。来年はもっと自分に厳しくなろう、と誓っています。

 今年はP.F.ドラッカーの著作を読むことに多くの時間をとりました。週に3~4時間をドラッカーの著書の精読にあてました。ドラッカーの言葉を引用し、文章にまとめて、約100回ブログに投稿しました。その他にも、ドラッカー経営の合宿に参加して学んだ時間や、主宰しているドラッカー読書会とその準備の時間を含めると、1年間で300時間くらいはドラッカーに費やしたと思います。

 ある分野で専門家になるには、その研究に1万時間を費やさなくてはならない、と言われています。私がドラッカーを本格的に読み始めたのは3年前からですから、このペースでいくと、ドラッカーの専門家になるためにはあとおよそ30年かかることになります。

 ドラッカー以外の本は110冊ほど読みましたが、1冊を読むのに3時間かかるとすると330時間です。この時間をドラッカーにあてたとしても、合計は630時間ですから、1万時間達成にはあと15年かかることになります。(私は専門家になるためではなく、お客さまのお役に立つためにドラッカーを読んでいます。) 

 芸術は長く人生は短し、とはよくいったもので、なすべきことに集中しない限り、何もなし得ることはないのだろうと感じています。

 さて、ドラッカーには「企業の目的は顧客の創造である」という言葉があります。

 私はかつてこの言葉に違和感をもっていました。企業はお客さまをつくるだけでいいのか?という疑問でした。なんとなく中途半端のような気がします。

 では『マネジメント エッセンシャル版』から該当部分を引用してみます。

 企業とは何かを知るためには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。

         『マネジメント エッセンシャル版』 p15より引用


 確かに、企業の唯一の目的は顧客の創造である、と言い切っています。

 続きの部分を読んでみましょう。

 市場をつくるのは、神や自然や経済的な力ではなく企業である。企業は、すでに欲求が感じられているところへ、その欲求を満足させる手段を提供する。それは、飢饉における食物への欲求のように、生活全体を支配し、人にそのことばかり考えさせるような欲求かもしれない。しかしそれでも、それは有効需要に変えられるまでは潜在的な欲求であるにすぎない。有効需要に変えられて、初めて顧客と市場が誕生する。
 欲求が感じられていないこともある。コピー機やコンピュータへの欲求は、それが手に入るようになって初めて生まれた。イノベーション、広告、セールスによって欲求を創造するまで、欲求は存在しなかった。

          『マネジメント エッセンシャル版』 p15-16より引用


 大事なことはこちらに書かれているように思います。

 人の欲求は、はじめは潜在的なものにすぎません。欲求が有効な需要に変えられて、商品やサービスという形となったとき初めて顧客と市場が誕生したことになります。人が顧客になり市場ができる、という過程こそが顧客の創造であります。

 その意味では、お客さまのお役に立ち、繰り返しほしいと思っていただいて、継続的にご注文を頂かない限り、顧客を創造したことにはなりません。
 「顧客の創造」という言葉には、顕在化していなかった欲求を有効需要に変えていく、という意味がこめられていたのです。

 今年も当社をご愛顧いただき、本当にありがとうございます。まだまだ力不足でございますが、少しでもお役に立てるよう努力をしてまいります。ご指導のほどよろしくお願いいたします。

 みなさまにおかれましては、どうぞよい年をお迎えください。ご多幸、ご健勝を心よりお祈りしております。
 
 参考文献:『マネジメント エッセンシャル版』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

  

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ささやタイムズ記事

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