日ごとに寒気加わる時節となりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、いまでは世の中のほとんどの人が企業や団体で働いています。組織に所属していることに何の違和感もないでしょう。
しかし、我々が組織に所属していることは現代社会の大きな特徴なのです。
産業革命以前は、農家はコメをつくり、パン屋はパンをつくり、鍛冶屋は鉄を金物をつくるというように、それぞれが自分の生業に従事していることが当たり前でした。
P.F.ドラッカーは、社会における組織の出現に注目しました。
知識によって生計を立てられるようになったのは組織社会になったからであり、組織が存在し機能しうるようになったのは、多くの人が高度の学校教育を受けるようになったからである。
マネジメントは、この二つの発展の原因であり結果である。マネジメントは、組織が機能し、それぞれの使命を遂行することを可能にする機関である。
『マネジメント(下)』p297より引用
ここで組織社会と知識社会の関係において「マネジメント」という言葉が登場します。誰もが使っている「マネジメント」とはいったい何のことなのでしょうか。
組織をして、社会、経済、コミュニティ、一人ひとりの人間のために成果をあげさせることが、今日のマネジメントの役割である。
『マネジメント(下)』p298より引用
マネジメントの役割についてさらに次のように述べています。
マネジメントの第一の役割は、組織が自らの使命を果たすようマネジメントすることである。成果をあげることである。第二の役割は、仕事を生産的なものにし働く者に成果をあげさせることである。第三に、よりよい社会をつくることである。
『マネジメント(下)』p299より引用
成果をあげるさせることはマネジメントの役割ですが、成果をあげるだけでは不十分である、とドラッカーはいいます。
社会から正統なものとしてその存在を是認されなければならない。
『マネジメント(下)』p300より引用
マネジメントの正統性とは、なんでしょうか?
そのような正統性の根拠は一つしかない。それが組織の特性である。したがって、マネジメントの権限の基盤となるものである。すなわち、人の強みを生産的なものにすることである。組織とは、個としての人間一人ひとり、および社会的存在としての人間一人ひとりに貢献を行わせ、自己実現させるための手段である。
『マネジメント(下)』p302より引用
マネジメントとは、利益をあげるための方法ではありません。
経営者は組織に所属する人々の強みを生かし組織の理念を追求するために、組織で働く人は仕事を通じて自己実現を図るために、組織を道具として利用せねばなりません。この活動がマネジメントそのものであり、よりよい社会をつくる道筋です。
お風邪などお召しになりませぬようご自愛くださいませ。今月もどうぞよろしくお願いいたします。
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参考文献:
『マネジメント 課題、責任、実践(下)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)

Hitoshi Yonezu at 10:00
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