ドラッカーの『明日を支配するもの』第6章「自らをマネジメントする」より引用いたします。
しかるに、自らをマネジメントするということは、一つの革命である。一人ひとりの人間、とくに知識労働者に対し、前例のないまったく新しい種類のことを要求する。あたかも組織のトップであるかのように考え、行動することを要求する。思考と行動において、これまでのものとは一八〇度違うものを要求する。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p231-232より引用
「知識労働者」という言葉は、1969年の『断絶の時代』において、ドラッカーが初めて使いました。
今日、かつては仕事の仕組みや主人の意向によって、決められたことを行うだけだった肉体労働者に代わり、自らをマネジメントする者としての知識労働者へと、労働力の重心が移行したことが、社会の構造そのものを大きく変えつつある。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p232より引用
かつては会社や主人の意向に沿うだけだけだった労働者(肉体労働者:マニュアルワーカー)ですが、いまではどんな業態のどんな職種の労働者も、知識労働者になりえるのです。
知識労働者は、組織のトップであるかのごとく考え、行動します。
ロボットのように、指示された時間内に決められたことだけ動くのではなく、どうしたら効率が上がるのか?どうしたらお客さまにもっと喜んで頂けるのか?その現場において実践することができます。
それは、会社や主人に尽くすための行動なのでしょうか?
そうではありません。
組織の内部ではなく、組織の外部にある成果を上げるためです。これは、誰かの役に立ち、社会をよりよくするための活動です。
そして、同時に自分自身の能力を上げるためです。自分自身の能力をあげて、知識社会において生き生きと活動するためです。
組織の一員として労働時間に流れを任すという考え方からみたら、自らをマネジメントすることは一つの革命だったのです。
セルフマネジメントはインテリのためだけのものではありません。
経済成長の見込めない我が国においては、もっと多くの人々が自らをマネジメントしていかねばならないように思います。

参考文献:
『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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