ドラッカーの『明日を支配するもの』第6章「自らをマネジメントする」より引用いたします。
自らの貢献が何かを考えるうえで、答えなければならない問題が、もう一つある。どこで、いかに貢献するかである。
だが、あまり先を見てはならない。貢献のためのプランを明確かつ具体的なものにするためには、長くともせいぜい一年半を対象期間とするのが妥当である。問題は、一年半あるいは二年のうちに、いかなる成果を上げるかである。
P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p215-216より引用
私はせっかちな性格で、何か心に引っ掛かることがあると「いますぐにやろう」と考えてしまいます。
社員にも、家族にも迷惑をかけますが、問題の事象が放置されている時間がどうしても許せないのです。一分でも早く手をつけたいという気持ちです。
お世話になっている社長のなかには私よりももっとせっかちな人がいて、公私に関わらず私のことで思いついたことがあったら「いますぐ来なさい」と指示されます。さすがに遠くにいて、すぐには行かれないことが多いですが、その社長のご要望に対しては、その場でできる限りの対応をするようにしています。
もっとも、うちの父も大変せっかちです。食事などは出そろわなくても食べ始めて、他の人より先に終えて、別のことを始めるようなことがあります。父は和食の職人でしたし、高度成長の大変忙しい時期を過ごした人なのでそういう性向があります。好きな絵を描くための時間を確保するための戦術だったかもしれません。
ただ、これらのことは、タスクをこなしていくという意味においてのせっかちです。
ドラッカーの述べている「一年半から二年」というのは、もっと大きな仕事やプロジェクトの話です。
組織に新しいシステムを導入する、人事評価制度を変える、などの仕事は、むやみに進めても、よい成果に結びつかないでしょう。多くの人を巻き込むためには、時間による醸成というものも必要なのです。
いまの状態が悪いと分かってしまうと、早く変えたいと私の心は逸りますが「急いては事を仕損じる」です。
二年というと長い感じがしますが、本当に大きなものを作り上げるとなると、そのくらいの期間はかかると思った方がいいでしょう。その間はいちいち小さく対応してしのいでいくしかありません。
ご紹介した文章を取り上げたのは、私にはいままで「二年をかけて」という考え方が欠けていたからです。「そんな悠長な!すぐやれ・・・・・・」という思いです。
いまでは当社にも進行中、あるいは、いまから二年間かけて行う仕事がいくつか並行して進んでいます。しかし、その進捗については目の前にある仕事と違って、やや甘くなっています。
本当に大きな成果を上げるために、自分のなすべき仕事に一年半から二年単位のものを組み込み、厳しく管理していく必要があるのではないか・・・・・・そう感じています。

参考文献:
『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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