価値観に合わないとき

2014年08月29日

 ドラッカーの『明日を支配するもの』第6章「自らをマネジメントする」より引用いたします。

 強みと仕事の仕方が合わないことはあまりない。両者は密接な関係にある。ところが、強みと価値観が合わないことは珍らしくない。よくできること、とくによくできること、おそろしくよくできることが、自らの価値観に合わない。世の中に貢献しているとの実感がわかず、人生のすべて、あるいはその一部を割くに値しないと思えることがある。

      P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p211より引用


 強みと仕事の仕方が合う、というのは誰にでも分かりやすいことです。

 数字が好きでコツコツと粘り強く仕事ができる人はは経理に向いているでしょうし、社交的で人の話をよく聞くことができる人は営業に向いているでしょう。ここのミスマッチングはあまりないのです。
 
 では、強みと価値観が合わないということはどういうことでしょうか。

 ドラッカーは自身の具体的な事例を上げています。

 私自身も若い頃、成功していたことと、自らの価値観の違いに悩んだことがある。一九三〇年代の半ば、ロンドンの投資銀行で働き、順風満帆だった。強みを存分に発揮していた。しかし、資産管理では世の中に貢献しているという実感がなかった。
 私にとって価値あるものは、金ではなく人だった。金持ちになることに価値を見出せなかった。大恐慌のさなかにあって、とくに金があるわけでも、他に職があるわけでも、見通しがたっていたわけでもなかった。だが私は辞めた。正しい行動だった。

      P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p211より引用


 資産管理でいくら成果を上げても、ドラッカーの心はふさいだままだったのです。
 
 ドラッカーは資産管理に価値を見出すことができませんでした。

 次の言葉が続きます。

 つまるところ、優先すべきは価値観のほうである。

      P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p211より引用


 自分の強みと、所属する組織の価値観が合わないとき、たいていの場合、強みを生かしてしまうのではないでしょうか。

 価値観が大切なのは分かる、でも、生活のためにここで我慢するしかない・・・・・・ということです。

 強みはすぐ目の前にあって、利益を生み出します。今日生きていくために緊急に必要なものです。

 しかし、人生という期間で考えたときに本当に優先すべきは価値観です。

 いつここに気がつくかです。

 そしていつ決断し、行動するか、です。

  


 参考文献:
 『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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