ドラッカーの『経営者の条件』の終章「成果をあげる能力を修得せよ」より引用します。
本書は二つの前提に立っていた。
(1)エグゼクティブの仕事は成果をあげることである
(2)成果をあげる能力は修得できる
P.F.ドラッカー『経営者の条件』p218より引用
ここまでの章において、成果をあげることは当然のこととなっていました。
なぜ成果をあげなくてはならないのでしょうか。
しかし本書が説いてきたことや各章の流れ、そしてそこから得られたものを振り返ってみるならば、エグゼクティブのあげるべき成果についてまったく新しい側面が浮かび上がってくるはずである。すなわち成果をあげることは個人の自己開発のために、組織の発展のために、そして現代社会の維持発展のために死活的に重要な意味をもつということである。
P.F.ドラッカー『経営者の条件』p219より引用
原文では次のように表現されています。
In looking back on the arguments and flow of these chapters and on their findings, another and quite different aspect of executive effectiveness emerges,however. Effectiveness reveals itself as crucial to a man's self-development; to organization development; and to the fulfillment and viability of modern society.
”The Effective Executive” p167
成果をあげることは、自分や組織のためだけならず「現代社会の維持発展のために」必要だったのです。
個人の貢献が社会の維持発展につながっていくというところがいいですね。
以下の部分です。
"Effectiveness reveals itself as crucial to a man's self-development; to organization development; and to the fulfillment and viability of modern society"
crucialは「死活的に重要」、the fulfillment and viability of modern societyは「社会の維持発展」と訳されています。訳者の想いが感じられます。
組織は成果はあげなくてはならないのです。
なぜなら、生き生きと前進していく社会をつくるためにどうしても必要だからです。
fulfillment 達成感、充実感、やりがい viability 生存能力、生活能力 (リーダーズ英和辞典 第2版)

参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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