圧力に屈すると、さらに

2014年06月13日

 ドラッカーの『経営者の条件』第5章です。

 前回は、圧力に屈すると重要な仕事が犠牲になる、という部分をご紹介しました。続きです。

 状況に流されて優先順位を決定することから予想されるもう一つの結果は、トップ本来の仕事がまったく行われなくなることである。トップ本来の仕事は、昨日に由来する危機を解決することではなく今日と違う明日をつくり出すことであり、それゆえに、常に後回しにしようと思えばできる仕事である。状況の圧力は常に昨日を優先する。
 また、状況の圧力に支配されるトップは、トップ以外の誰にもできないもう一つの仕事、すなわち組織の外部に注意を払うという仕事をないがしろにしてしまう。その結果、唯一の現実であり唯一の成果の場である外部世界の感触を失うことになる。なぜならば、状況の圧力は常に内部を優先するからである。
 状況からの圧力は、未来よりも過去を、機会よりも危機を、外部よりも内部を、重大なものよりも切迫したものを優先する。

        P.F.ドラッカー『経営者の条件』p148-149より引用


 重要な内容が続いていますね。

 仕事からの圧力に負けた場合どうなるのか、あと二つ出てきました。

 一つは明日をつくり出す仕事が全く行われなくなることであり、もう一つは組織の外部に注意を払わなくなってしまうことです。

 昨日ご紹介した部分と合わせて考えてみます。
 どの仕事が重要であるかをエグゼクティブ自身が決めないで、仕事の圧力に負けて決めることになってしまった場合、次の三つのことが起こります。

 1.重要な仕事が犠牲になります。特に意思決定を行動に変えるための時間がなくなります。そのために仕事が完結せず、時間と労力が無駄になります。

 2.トップ本来の仕事である明日をつくる仕事が行われなくなります。そして昨日に由来する仕事が優先されるようになります。

 3.トップ以外の人にできない仕事である、組織の外部に注意を払うという仕事がないがしろにされます。外部世界の感触が失われます。


 仕事からの圧力とは恐ろしいものですね。

 次の一文でまとまっています。

 「状況からの圧力は、未来よりも過去を、機会よりも危機を、外部よりも内部を、重大なものよりも切迫したものを優先する」

 原文では次のように表現されています。一文手前からご紹介したほうが分かりやすいのでそのように致します。

For the pressures always favor what goes on inside.They always favor what has happened over the future,the crisis over the opportunity,the immediate and visible over the real, and the urgent over the relevant.

”The Effective Executive” p109


 直訳するとこんな感じでしょうか。

 「状況からの圧力は常に内部を優先する。未来よりも過去を、機会よりも危機を、真実よりもいま見えているものを、意味のあるものよりも緊急なものを優先する」

 上田先生の訳文はズバッとかっこよくまとめられていますね。訳者の妙ですね。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

  ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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