春まだ浅く、風に冷たさを感じます。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
先月は信州上田に考えられないような大雪が降りました。信州の中部、南部はもともと雪の少ない地域ですから、大雪に対する備えができていません。交通や物流がストップし、人的、物的な被害が広がりました。
被災されたみなさまにはこころよりお見舞いを申し上げます。
予想できない事故や事件が起こるたびに、おろおろしてしまうのが人間です。
災害は起こらないでほしい、と願っていますが、地球環境や人生というものはその願いがかなうほど簡単なものではないでしょう。
作家の白取春彦さんは『頭がよくなる逆説の思考術』で次のように述べています。
安心の社会。安心して働ける社会。そんなものは、自分の給料さえ貰えばいいと思っている能無しの考えた愚にもつかない標語にすぎない。実際には、誰もが死ぬ寸前まで安心にたどりつくことはできないだろう。
この現代社会に生きていて、安心は手に入らない。安心の瞬間といったものをたまには錯覚のように感じることはできるかもしれないが、その安心ですら続くわけではない。
『頭がよくなる逆説の思考術』 p136より引用
災害が少なくて安心な土地だ、というのは多くの上田市民が口にする自慢の一つで、私もそう信じていましたが、その上田にさえ今回の雪害をはじめ、何度も災害が起こっています。
なにも起こらない土地など、いったい世界中のどこにあるのでしょうか・・・・・・
うねることで存在する波と同じように、わたしたちも動くことでのみ世に存在する。与えて、他から受け取り、企てて挑み、破れて直し、倒れて立ち上がり、いくつかの僥倖と偶然に助けられ、どうにかして望みを形にする。
その営みは、どこを輪切りにしても不安だらけだ。だから、不安の隙間に細くある安心の道をたどればよいということではない。そういう道などまるで見えないし、あるかどうかもわからないから不安なのだ。
『頭がよくなる逆説の思考術』 p139-140
私の人生が海上の波のようなものだと覚悟できるなら、自分を他人と比べることもありませんし、将来を悲観することもありません。災害を誰かのせいにすることもないでしょう。
実際のところ、この頑丈そうに思える足元も、途方もなく巨大な宇宙に漂う一つの星に過ぎないのです。
そう考えると、人生の合間に一瞬だけ感じる幸せや安心が、それはそれは貴重なものに思えてきます。
理想的なものを追い求めるよりも、いまある瞬きのような幸せのほうが確からしい気がいたします。
末筆となりますが、みなさまのご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
今月もどうぞよろしくお願い申し上げます。

参考文献:『頭がよくなる逆説の思考術』 白取春彦 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ささやタイムズ記事