『そして2014年、日本経済が蘇る』を読んで

2014年01月23日

 増田悦佐さんのご著書『世界は世紀末という大転換を迎える そして2014年、日本経済が蘇る』を拝読いたしました。

 増田さんは1949年東京都生まれ、一橋大学経済学研究科修了後、ジョンズ・ホブキンス大学大学院博士課程を修了されました。ニューヨーク州立大学助教授、外資系証券会社の建設・住宅・不動産担当のアナリストを経て、現在は株式会社ジパング経営戦略本部シニアアナリストを務めておられます。
 
 増田さんのご著書は以前にもご紹介したことがあります。 

 『日本と世界を揺り動かす物凄いこと』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e940031.html

 今回ご紹介する本は、300ページ超もあり分厚く、歴史があまり詳しくない私にはやや難しいと感じる部分もありました。

 この本を私なりにまとめると、今後の日本経済について、インフレ誘導策には批判的で、自然体のデフレ状態がよいという考え方です。

 本書によれば、輸出振興をすることが日本経済の復活につながるという考え方はピンボケだといいます。

 第二次世界大戦後の日本経済の復興は、あくまでも内需の拡大にもとづく成長加速に依存していた。ただ、日本はエネルギー資源、金属資源、食料の輸入依存度が高いので、これらの輸入を借金せずにまかなえるように輸出を伸ばしていたにすぎないのだ。
 
          『そして2014年、日本経済が蘇る』 p274より引用


 日本の輸出は中間財、資本財に代わってきているので、円高に耐えられるようになってきているそうです。

 いま進んでいる高齢化社会は一般的にはあまりよいこととは考えられていませんが、増田さんによれば高齢化社会とデフレは親和性が高いそうです。
 
 ただ、高齢化社会は、当然「今から借金をしてまで稼ぐよりは、すでに確保した蓄積が目減りしないようにしたい」と考える人が多い社会でもある。だからこそ、若い人の多い社会がインフレと親和性が高いのと同様に、高齢化社会はデフレとの親和性が高いのだ。

         『そして2014年、日本経済が蘇る』 p293より引用

       
 なお、「労働力人口が減少しつづけるとしたら、やっぱり暗い社会だろう」という感想はまちがっている。経済は、希少性の高い資源を大事に使い、希少性の低い資源はそれほど大事にしないという仕組みになっている。労働力人口が減少しつづける環境は、それだけ希少性の高まる勤労者は大事にされ、蓄積が高まっていくらでも使える資本の取り分が目減りしていく社会になる。

         『そして2014年、日本経済が蘇る』 p297-298より引用


 やがてヨーロッパ各国も日本のようなデフレの状態がよいと考えるようになり、日本の国民もインフレ誘導に異を唱えるようになるというのが増田さんの読みです。

 デフレにもよいところがあるという点でユニークな論理です。

 この20年、デフレで商売は大変でしたが消費者としての生活は悪化していないと思います。私は昔と比べて品質のよいものが安く手に入るようになったという感じがしています。

 先月、上海に行ったときには、現地の中国人に「日本は物価が安いから、日本へ行ったら買い物をしたい」と言われて、世界観が変わるような気がしました。

 今後もデフレの状態が維持されるようなことがあったら、生活がもっと質素でコンパクトになるだけで、世の中は意外と変わらないかも・・・・・・という気もしています。

 どうぞご参考になさってください。(題名から期待するような派手なことはあまり書いてありません。)

  


 参考文献:『世界は世紀末という大転換を迎える そして2014年、日本経済が蘇る』
 


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