ドラッカーの『経営者の条件』第1章「成果をあげる能力は修得できる」より引用します。
特に重要なこととして、組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある。企業の場合、顧客が製品やサービスを購入し、企業の努力とコストを収入と利益に変えてくれるからこそ、組織としての成果がある。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p31より引用
組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある・・・・・・
ドラッカーの有名な言葉です。
ところが、現実には人の注意は組織の内部へ内部へと向けられるようになってしまいます。
だがエグゼクティブの目に最もよく見えるものは、常に組織の内部の世界である。また急を要するものが存在するのも、組織の内部の世界である。常に耳にするものは、組織内部の人間関係や摩擦、問題や課題、反対や噂である。
したがって、エグゼクティブたる者は、外部の現実の世界に直接触れるべく特別の努力を払わないかぎり、組織の内部に焦点を合わせることとなる。しかも地位が上がるほど、外部の出来事よりも内部の問題に注意が向く。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p33より引用
内部に成果を求めるということは、自分の組織だけの利益を求めるということになりかねません。
また、ドラッカーが指摘しているように、組織の人間関係や部門間の摩擦など内部の問題ばかりに時間を取られていては、本当に求めたい外部の成果が置き去りになってしまいます。
外部の成果とは、社会やお客さまにとっての価値です。
内部の問題をないがしろにするということではありません。内部の問題も大切です。
ただ、経営者、エグゼクティブが深く関わって、成果を出さなくてはならないのはあくまでも外部です。
外部に対して成果を出さないと、企業の存在する意味がなくなり、企業を存続させることができないからです。
内部の問題に振り回されないために、組織づくりには長期的な視野で取り組み続けたほうがいいでしょう。
経営者は外部に対する視線をそらしてはいけないと思います。

参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ドラッカー