『日本が世界一「貧しい」国である件について』を読んで

2013年11月18日

 谷本真由美さんのご著書『日本が世界一「貧しい」国である件について』を拝読いたしました。

 谷本さんは1975年、神奈川県生まれ、シラキュース大学大学院修士課程を修了され、ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連食糧農業機関などを経て、現在はロンドンの金融機関で情報システムの品質管理とITガバナンスを担当されています。その傍ら、ロンドン大学の教授である夫とともに日本人の英語指導にも携わっています。

 May_Romaの名称でのツイッター上でのつぶやきは、多くのフォロワーに読まれ、時には賛否両論を引き起こしています。この本は谷本さんの初の書き下ろしだそうです。

 内容は日本人の生き方や働き方をイギリス人のそれと比較して、日本人の行動や悪習慣を批判するものです。
 
 ほとんどのことは昔からよく言われていることですので、私にとってはそんなに目新しさはなかったです。
 谷本さんが国連など異文化の集まる場所で実際に勤務をされていたことと、ツイッターでのつぶやきに人気が出たことが、この本のベースだと思います。

 最近ノマドという働き方が知られるようになり、一般の方のなかにもその働き方にあこがれる人が多いようです。

 ノマドワーカーとは、独自の能力を持った人が国境を越えてさまざまな場所で働きながら生きることです。

 谷本さんは次のように述べています。

 しかしながら、「超ノマド」は、そもそも市場に求められる高い専門性があり、凡人ではまねできない能力や技能があり、さまざまな国で働くことが可能な語学力(英語)に加え、文化的適応性がある人々のことを指します。要するに、「超ノマド」になることができるのは、たった一握りの才能あふれる人々なのです。

    『日本が世界一「貧しい」国である件について』 p101より引用


 労働力が国際的に流動化し、企業や工場の移転も自由になると、普通の人には住みずらい世界となり、下層ノマドが出来てしまうそうです。

 このような世界では、平凡な人や才能がない人は、アタリが指摘する「下層ノマド」にならざるを得ません。「下層ノマド」とは、グローバル化が進んだことで、会社や仕事が国外に移転してしまい、国内に仕事がなくなってしまったために、仕事を探してさまざまな土地をさまよう人たちのことです。

   『日本が世界一「貧しい」国である件について』 p105より引用
   (アタリ:フランスの思想家、ジャック・アタリのこと)

 
 「超ノマド」になるためには、メニューの提案からマーケティング、料金計算、どんぶり洗いまでこなせる「豚骨ラーメンに特化した屋台の一人親方」(p104)になる必要があるというわけです。
 
 ノマドワーカーとは夢のある響きですが、実は恐ろしい将来を見ているのですね。

 ご興味のある方は、読んでみてください。
 
  



 参考文献:『日本が世界一「貧しい」国である件について』
 

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