ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』Part3 1章「私の人生を変えた七つの経験」104pより引用します。
一〇年あるいは一五年にわたって有能だった人が、なぜ急に凡人になってしまうのか。私の見てきたかぎり、それらの例のすべてにおいて、原因は、昇進した者が、ちょうど私が六〇年以上前、あのロンドンの投資銀行に入ったばかりのことにしていたこととまったく同じことをしていることにある。彼らは、新しい任務に就いても、前の任務で成功していたこと、昇進をもたらしてくれたことをやり続ける。そのあげく、役に立たない仕事しかできなくなる。正確には、彼ら自身が無能になったからではなく、間違った仕事の仕方をしているために、そうなっている。
『プロフェッショナルの条件』 p104より引用
昨日のマネジメント読書会の課題となっていた部分からの引用です。
第14回 マネジメント読書会
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1382661.html
ある方がこの部分について、次のような体験談を紹介されました。
自社において、一般社員だったときには目立たなかった人物が、ようやく昇進を果たすと急に成果を上げ始めたり、逆に一般社員だったときには成果をあげていた人物が管理職になるとだんだん力を落としていったりすることがあったそうです。
「いかにして成果をあげるか?」という質問を自分に投げかけていないからです。
その結果、仕事の方法は成り行きとなり、自分に任命された仕事に合っていれば成果があがり、合っていなければ成果があがらないということになります。
ドラッカーは続く文章で次のように述べています。
少なくとも私の経験では、このことを自分で発見した人はいない。誰かが言ってくれなければ分からないことである。同時に、このことは一度知ってしまえば、決して忘れることのないものである。そしてほとんど例外なく、その後は、誰でも新しい任務で成功するようになる、
『プロフェッショナルの条件』 p105より引用
新しい任務を昨日の任務の続きと考えるのは間違いです。また、知識や才能だけでも成功はできません。
新しい任務に集中し、その任務が要求するものを徹底的に考え抜かなければなりません。

参考ブログ:なぜ急に無能になるのか
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e486054.html
参考文献:『プロフェッショナルの条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(編訳) (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ドラッカー