ドラッカーの『創造する経営者』第11章より引用します。
マネジメントたる者は、自らの手に委ねられた人材に仕える怠惰な執事にとどまらないためにも、未来において何かを起こす責任を受け入れなければならない。進んでこの責任を引き受けなければならない。進んでこの責任を受けることが、単に優れた企業から偉大な企業を区別し、サラリーマンから事業家を峻別する。
『創造する経営者』 p256より引用
自らの手に委ねられた人材に仕える怠惰な執事・・・・・・
ドラッカーらしい表現です。
マネジメントたる者、ただ部下の管理に翻弄されているだけでは、怠惰な執事に成り下がってしまいます。
未来において何かを起こす責任を進んでもつかどうかが、優れた企業と偉大な企業、サラリーマンと事業家を分けるのです。
ご紹介した文章の節は「全人格的な献身と勇気」という題名になっています。
ドラッカーはマネジメントの話によく「勇気」を持ちこんできます。
例えば『経営者の条件』では、意思決定の優先順位の原則は「分析ではなく勇気に関わるものである」(p151)と述べています。
経営に勇気か・・・・・・と思いますね。
経営学を学び、合理的な判断をしていればよい成果があがるというのであれば、頭のよい社長の会社がもっともよい成果を出すことになるでしょう。勉強をするために、どんなに髙い授業料を払ってでも喜んでビジネススクールへ行きます。
現実には、社長の頭のよさは、経営とあまり関係がありません。
勇気はむしろ芸術的な能力に近いかもしれません。その人物にそもそも備わっていないのだとしたら、人生の経験において積んでいくことでしか身につかないものです。
未来に責任をもつには勇気が必要なのです。

参考文献:
『創造する経営者』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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