『経営者の条件』の読み方

2013年11月01日

 冬がもうそこまで近づいてまいりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 さて、ドラッカーの『経営者の条件』は、ドラッカー山脈と呼ばれる四十数冊の著書のなかでも、唯一、セルフマネジメント(いかに自分を管理するか)に的を絞って書かれた著作です。

 題名は『経営者の・・・』ですが、「訳者あとがき」には、原題"The effective executive"の真意は『できる人』だと書かれています。

 つまり、どういう立場であろうと、自分の行動を変え、成果をあげるために読むのが『経営者の条件』なのです。

 この本では、エグゼクティブ(できる人)の仕事は成果をあげることであり、成果をあげる能力は習得できるものであるという前提のもと、次の五つの習慣的な能力が成果をあげるための条件として解説されています。

 時間(第2章)
 貢献(第3章)
 強み(第4章)
 集中(第5章)
 意思決定(第6章、第7章)


 ところが、序章だけは変わっていて、少ないページの中で、これとはまったく別の「八つの習慣」というものが突然表れます。ドラッカーが65年の間、コンサルタントとして出会ったCEOたちが習慣としていたことをまとめたものだそうです。
 『経営者の条件』は1966年に出版されたものですが、序章は2004年に加筆されたものですので、本文とは違う表現が後から付け加えられているのです。

 なぜいきなり本文とは違う「八つの習慣」が表れるのだろう、とずっと疑問に思っていました。 

 序章の「八つの習慣」とは次のようなものです。

 (1) なされるべきことを考える
 (2) 組織のことを考える
 (3) アクションプランをつくる
 (4) 意思決定を行う
 (5) コミュニケーションを行う
 (6) 機会に焦点を合わせる
 (7) 会議の生産性をあげる
 (8) 「私は」ではなく「われわれは」を考える


 この八つの習慣について、(1)(2)で知るべきことを知り、(3)から(7)で成果を上げ、(8)で組織内の全員に責任感をもたらす、とドラッカーは説明しています。(p3)

 (3)から(7)の習慣によってCEOは成果をあげた、と書かれているとおり、この五つは本文の五つの能力と関係していることに気づきました。
 
 (3)アクションプランをつくる → 集中、時間
 (4)意思決定を行う → 意思決定
 (5)コミュニケーションを行う → 貢献
 (6)機会に焦点を合わせる → 強み、集中
 (7)会議の生産性をあげる → 時間


 やっぱり五つの能力が元になっています。(と私は思います。)

 『経営者の条件』は、序章を最後に回して、第1章から読むのが分かりやすいです。

 なんだかドラッカーの細かい話題になってしまいました。申し訳ありません。

 これから『経営者の条件』を読み始める方に参考になればと思って書いてみました。
 
 末筆となりますが、みなさまがたのご多幸、ご健勝を心よりお祈りいたします。

 今月もどうぞよろしくお願いいたします。  
 
  


 参考文献:
  『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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