ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』より引用します。
組織の価値観でさえ、組織の機能によって決まる。それぞれの機能によって規定される。いずれの地であっても、病院にとっては医療が最高の価値である。学校にとっては、生徒が学習することが最高の価値である。企業にとっては、財やサービスの生産と供給が最高の価値である。組織が最高の仕事をするためには、そこに働く者が、自らの組織の行っていることが社会にとって不可欠の貢献であることを信念としていなければならない。
したがって、組織は常にコミュニティを超越する。組織の文化がコミュニティの価値と衝突するときには、組織の価値が優先する。さもなければ、組織は貢献を果たせなくなる。
『プロフェッショナルの条件』 p37より引用
企業においては、経営理念や価値観を浸透させることが大切だと言われていますが、まさにこのことなんですね。
所属する組織の行っていることが「社会にとって不可欠の貢献である」と信じることができなければ、組織は最高の仕事をすることができないのです。
心の中に疑問や不満をもつ人が集まって、それぞれが別々のことを考えていては、組織は成果をあげることができません。組織はただの人の集まりではないのです。
個人は、所属する組織の理念を理解し賛同しているのか、自分に問わなくてはなりません。
別々の組織が合併する場合なども同じことです。もともとの組織にあった理念や価値観は、合併後の組織の目指す理念、価値観にまとめられることになります。
でなければ組織はよい仕事をすることができなくなります。
明確な理念、価値観をもっているという点で、組織は隣組のようなコミュニティとは明らかに違うわけです。仲良しクラブでは、ことをなすことはできません。
組織が社会に価値を提供するためには、組織とその組織を構成する個人に、統一された理念、価値観が貫かれている必要があります。

参考文献:『プロフェッショナルの条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(編訳) (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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