原田泳幸さんのご著書『大きく、しぶとく、考え抜く。原田泳幸の実践経営論』より引用いたします。
1~2年でどんどん会社を変わる人はたくさんいます。やはり最低5年、できたら10年は一カ所でやらないと仕事はできないでしょう。特に、部長以上のクラスになると、1つの仕事で5年やることが必要ですよ。
私が非常に冷徹に人材を切るというのは、その人物がビジネス・アジェンダ(会社のため)で行動しているか、パーソナル・アジェンダで行動しているかという判断によります。それがパーソナル・アジェンダだった時は、絶対にそこでけじめをつけます。やはり、自分個人よりもビジネスを考えて行動しなければいけません。ビジネスを犠牲にして自分のために行動したら許しません。
『大きく、しぶとく、考え抜く。原田泳幸の実践経営論』p108より引用
最近は一般社員だけなく、ある程度の髙い立場にいる人も1~2年で会社を変わることがあるようです。
若い社員であれば、働き方や人生について私の考え方を改めて説明して納得してもらうことができますが、管理職になるような立場の方は年令も高いので頭が固くなってしまっていて、いくら話をしても考え方は変わりません。
いったん別の会社に転職した社員が、やはりこちらの方がよかったというので、せっかく戻ってきたのに、些細なことを原因に、また転職してしまうというケースもあります。
ほとんどの場合、待遇が原因ではなく、会社のやり方についていけない、もっと楽な仕事をしたい、という理由です。
その証拠に、そういう人が転職したあと、自分の場所を確保して力を発揮し、生き生きと仕事をしているという話は聞いたことがありません。
仕事が楽で給料も高くて休みも多い、という仕事はありっこないですし、あったとしても特別な能力が必要な仕事です。
なのに、どうしても隣の芝が青く見えてしまうのです。高所にたって物事を見ることができていません。
原田さんが指摘しているようにパーソナル・アジェンダで行動しているからではないでしょうか。そのときの自分にとって都合のよいように信念がぶれています。
仕事は人生においては部分に過ぎないかもしれませんが、大きな割合を占めるものですし、適当に流してよいものではないことは確かです。
私は転職を否定するものではありませんが、うちの社員たちには、いずれの会社にいったとしても会社においては会社のために行動し、自分は会社を通じて社会に価値を生み出すのだ、という信念をもって働いてほしい、と思います。

参考文献:『大きく、しぶとく、考え抜く。原田泳幸の実践経営論』 原田泳幸 (日本経済新聞出版社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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