ドラッカーの『経営者の条件』の終章「成果をあげる能力を修得せよ」より引用いたします。
エグゼクティブの成果をあげる能力によってのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを調和させることができる。したがってまさにエグゼクティブは成果をあげる能力を修得しなければならない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 終章 p227より引用
組織と個人にそれぞれのニーズがあります。
組織のニーズ :所属する個人は組織に対して貢献してほしい。
個人のニーズ :自らの目的の達成のための道具として組織を使いたい。
この二つのニーズを調和させるのは、エグゼクティブの成果をあげる能力です。
個人は、その能力をつかって組織に貢献するとともに、組織を道具として、自己実現を図ります。組織は、所属する個人に能力を発揮してもらって、外部に成果をもたらします。
個人も組織も双方が大きなプラスの成果物を手にすることができるのです。
もしも、個人が組織を敵対するものと見て、自分の利益実現のための要求ばかりをしたらどうなるでしょうか?
もしも、組織が個人を機械のように愛情なく扱い、消耗品のように使い捨てにしてしまったらどうなるでしょうか?
なぜ、そういうことが起こるかといえば、組織に所属する個人が成果をあげる能力を修練していないからです。
組織が存在する意義、自分が組織に所属する意義を理解できていないので、目の前にあるものしか見えなくなっています。
ここに、成果をあげる能力をどうしても修得せねばならない理由があります。
『経営者の条件』の終章は次の文章で締めくくられています。
"Effectiveness must be learned."

参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ドラッカー