『メリットの法則 行動分析学・実践編』を読んで
2013年08月20日
奥田健次さんのご著書『メリットの法則 行動分析学・実践編』を拝読いたしました。
奥田さんは1972年兵庫県生まれで、専門行動療法士、臨床心理士として活躍されています。2012年に行動コーチングアカデミーを設立し、発達障害、自閉症、不登校などの問題の解決にあたっています。桃花学園大学大学院客員教授、法政大学大学院非常勤講師も務められています。
この本は、行動分析学(Behavior Analysis)という実践的な心理学の方法を伝授してくれるものです。
具体的な内容は本書を読んで頂きたいのですが、好子、嫌子、それぞれの出現、消失という四つの行動原理であらゆる行動が説明できてしまいます。
人間は動物とは違うとはいいますが、この本を読むと、やはり人間も動物的な部分があるんだということを否定できません。
奇声をあげる子供の症状を治した事例や、不登校だった兄弟3人を通学させた事例など、身近で起こった現実の事例がいくつも紹介されています。
私は、同じような小さなミスを繰り返す社員のことを思い出しました。
気がかりなのは、ミスをした後、上司はその部下に対してどのような行動をとっているのか?ということです。また、私はその部下に対して面談のときにどのような対応をとっていたか?と考えました。
部下がミスをしても、その後の上司の対応で居心地(気分)がよくなるような行動をとっているとしたら、部下のミスは減りません。
行動分析学によれば、ミスをしたら困るような状況にしないと、部下に変化は起こらないことになります。
ただ厳しく怒ればよい、という意味ではありません。上司が怒るのを部下がほくそ笑えんでいる場合もあるからです。
動物対動物の感覚の戦いのような気もします。実際、行動分析学に対しては、人間は動物ではない、という批判もあるのだそうです。
この考え方がすべてではないですが、知っておいて損はない論理です。
ご参考になさってください。
参考文献:『メリットの法則 行動分析学・実践編』 奥田健次 (集英社新書)
米津仁志 at 10:00
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