非顧客の重要性 1

2013年07月30日

 北海道、帯広市に本社をおく十勝バスは42年ぶりに顧客が増えたことで大変話題になりました。

 社長の野村文吾さんがドラッカー読書会に参加され「非顧客に聞け」という言葉に出会ったことがきっかけだったそうです。

 実際にバス停周辺の非顧客に、バスに乗らない理由を訪ねて歩いたところ「不便」だから乗らないのではなく、「乗り方が分からない」から乗らないのだ、ということが分かったのです。

 ドラッカーは『明日を支配するもの』第1章で「非顧客の重要性」について、次のように述べています。

 もはや特定の産業だけのための技術などというものはなく、あらゆる技術が、あらゆる産業にとって重要であり、重大なかかわりをもちうることを前提としなければならない。また、いかなる財、サービスといえども、使い道は一つではなく、逆に、いかなる使い道も、いかなる財、サービスにも縛られるものではないということを前提としなければならない。
 このことが意味することは、第一に、企業、大学、教会、病院のいずれにせよ、非顧客(ノンカスタマー)が、顧客以上に重要になったということである。

      P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p32より引用


 使い道が一つだと思っているのは企業であって、お客様の立場から見ると、まったく違う視線で見ている場合があるというわけです。

 非顧客についての情報どころか、非顧客なるものの存在さえ知らない者ほとんどである。自分たちにとっての非顧客が、なぜ非顧客のままでいるのかを知る者は、さらに少ない。 
 しかるに、変化はつねに非顧客の世界で始まる。

      P.F.ドラッカー 『明日を支配するもの』 p32より引用


 ほとんどの企業は非顧客に近づこうとしないのです。

 私もお客さまの元に営業に伺うと、想像もできなかった理由で離反されていたことが分かり、自分の力不足に唖然としてしまいます。

 お客さまのご不満は、いまのお客さまにお聞きするだけでは分からないのです。
 
 (明日に続きます。)
 
  


 参考文献:
 『明日を支配するもの』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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