ドラッカーの『経営者の条件』の第7章「成果をあげる意思決定とは」より引用いたします。
しかし現実には、コンピューターのおかげでエグゼクティブは、今日その場しのぎの対応として処理しているものを、やがて本当の意思決定として行わなければならなくなる。すなわちコンピューターのおかげで、これまでは反応するだけだった人たちのきわめて多くが、真の意思決定者、真の執行者とならなければならなくなる。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第7章 p209より引用
『経営者の条件』は1966年に出版されています。その頃、大型コンピュータは企業に入り始めていましたが、ほとんどの人はコンピュータには触れることはなかったでしょう。個人にはとても手の出るものではなかったと思います。
その時代にドラッカーがこのことを指摘していたのは驚きです。
原文では次のような表記になっています。
Actually the computer will force executives to make, as true decisions, what are today mostly made as on-the-spot adaptations. It will convert a great many people who traditionally have reacted rather than acted into genuine executives and decition-makers.
”The Effective Executive” p159
コンピュータの導入により、物事が早く進み、よく見えるようになったので、迅速かつ大量の意思決定が求められるようになりました。
逃げる時間、待ちの時間、余裕の時間が少なくなっています。
ドラッカーは「コンピュータはエグゼクティブにとって力のある道具である」と述べています。
最終の決断をするのは、真の意思決定者、真の執行者(genuine executives and decition-makers)である我々人間です。
反応するだけでなく、行動することが求められています。

参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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