意見の対立

2013年07月04日

 ドラッカーの『経営者の条件』の第7章「成果をあげる意思決定とは」より引用いたします。

 いかに感情が高ぶろうと、またいかに相手側が筋が通っていないと確信しようと、正しい意思決定を行おうとするならば、選択肢を十分に検討するための手段として反対意見を見るべく努力しなければならない。あらゆる側面を丁寧に見るための手段として意見の対立を使わなければならない。

          P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第7章 p204より引用


 正しい意思決定を行うために、反対意見を見ること、意見の対立が必要だ、とドラッカーは述べています。

 うちの会社の会議でも、上席のものや声の大きい者の意見がするりと通ってしまうことがあります。そういうときは危うさを感じるので、私は簡単には承諾せずに、問題点をあげてみます。

 力のある者が話を進めていて、みなが黙っているときには、部下や一般社員はものが言いにくいのだと思います。

 しかし、成果をあげる意思決定をするためには、反対意見、意見の対立が必要なのです。

 ドラッカーは、それらは「手段」だといっています。

 誰であろうと「手段」として反対意見を言わねばならないのです。

 原文では次のような表現になっています。

 No matter how high his emotions run, no matter how certain he is that the other side is completely wrong and has no case at all, the executive who wants to make the right decision forces himself to see opposition as his means to think through the alternatives. He uses conflict of opinion as his tool to make sure all major aspects of an important matter are looked at carefully.

       ”The Effective Executive” p155


 日本語ではいずれにしても「手段」という言葉で翻訳されていますが、原文では、反対意見についてはmeans、意見の対立についてはtoolと使い分けられていますね。
 辞書を調べると、meansには「特定の手段」という意味が、toolには「目的のための手段」という意味があるようです。

 微妙な意味の違いは、私の英語力では分かりません。

 「異なる意見をぶつけることは感情の対立ではなく、手段である」とみなが認識していると、会議も進みやすいですね。 

  

 
 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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