ドラッカーは『プロフェッショナルの条件』Part2 1章「生産性をいかにして高めるか」において、生産性について次のように述べています。
物を作ったり運んだりする仕事については、生産性の向上の焦点は仕事に合わせなければならない。知識労働の仕事については、成果に合わせなければならない。
『プロフェッショナルの条件』 p60より引用
知識労働は大きく分けて三種類あるそうです。
第一に、知識労働のいくつかにおいては、仕事の成果は純粋に質の問題である。たとえば、研究所の仕事である。量、すなわち研究成果の数は、質に比べればまったく二義的である。
(中略)
第二に、質と量をともに成果とすべき知識労働が幅広く存在する。デパートの店員の成果がそれである。顧客の満足は質的な側面であり、定義するのはそう簡単ではない。だがそれは、売上高や売上伝票の枚数という量的なものと同じように重要である。
(中略)
第三に、生命保険会社の保険金支払い、病院のベッドメーキングなど、その成果が肉体労働と同種の仕事が多数ある。それらの仕事の場合、質は前提条件であり、制約条件である。仕事の質は、成果ではなく条件である。最初から仕事のプロセスに組み込んでおかなければならない。組み込んでおきさえすれば、成果のほとんどは量で定義される。
『プロフェッショナルの条件』 p60より引用
第一の知識労働は分かりやすいですね。知識労働という文字そのものです。
第二、第三の知識労働は、昨今では混ざり合っている場合もあるように思います。
例えば、高級レストランの接客は第二ですが、ファーストフードの接客は第三です。しかし、それぞれにおいて、いずれの要素も含んでいなければならない部分があるはずです。高級レストランにも質を組み込んだ手順というものがあるでしょうし、ファーストフードの店頭の係員の対応によっては、お客さまの満足は大きく変わると思うからです。
このように、知識労働の生産性を高めるには、その仕事が、成果に関して、いずれの範疇に属するかを知っておく必要がある。そうして初めて、何に取り組むべきかが明らかになる。「何を分析すべきか」「何を改善すべきか」「何を変えるべきか」を決定できる。さらには、知識労働のそれぞれについて、生産性の意味を明らかにすることができる。
『プロフェッショナルの条件』 p61より引用
第三の知識労働についての作り込みが重要になっているように思います。

参考文献:『プロフェッショナルの条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(編訳) (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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