現場での意思決定

2013年05月16日

 ドラッカーの『現代の経営[下]』第16章より引用いたします。

 意思決定は、原則として、常にできるかぎり低いレベルの現場に近いところで行う必要がある。しかし同時に、影響を受ける他の活動や目標について十分考慮できる高さのレベルで行う必要がある。すなわち、前者は、いかに低いレベルで決定を行う「べきか」を規定する。後者は、いかに低いレベルで決定を行うことが「できるか」を規定する。

            P.F.ドラッカー 『現代の経営[下]』 p11より引用


 現場ではその場で意思決定をするほうが、早いですし、分かりやすいですし、理にかなっていると思います。

 ただ、自分の現場しか考えていない人が意思決定をすると、自分や自分の部署の利益だけを考えるおかしな結果になってしまいます。仕事の成果に責任をもたないわけですから、すべて自分の都合のよい結果になるように意思決定をするでしょう。

 私がよく見たのは、仕事で決まっている手順を面倒だという理由で省いてしまって、自分の仕事が楽になるようにして後で結果を繕うことです。そういう人に意思決定を任せてしまってしばらくすると、はじめの状態からは想像もできないような現場になってしまっていて驚くことになります。

 そこでドラッカーは「影響を受ける他の活動や目標について十分考慮できる高さのレベルで行う必要がある」と述べています。

 いくら現場で意思決定をするといっても、その内容は経営を見通すような内容を含んでいなくてはならないのです。それができる人が意思決定をすべきです。
 それができる人とはどんな人でしょうか。

 『経営者の条件』の第1章でドラッカーは次のように述べています。

 今日あらゆる階層において、意思決定を行う者は、企業の社長や政府機関の長と同じ種類の仕事をしている。権限の範囲は限られている。組織図や電話帳に地位や名前は載っていないかもしれない。しかし、彼らはエグゼクティブである。そして、トップであろうと新人であろうと、エグゼクティブなる者はすべて成果をあげなければならない。

            P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 p27より引用


 意思決定はできる限り低いレベルで行われるべきですが、そこで意思決定をする者は「成果をあげるエグゼクティブ」でなくてはならないのです。成果をあげることを意識しているかどうかがいちばんの問題ですね。

 現場において「もう仕事に慣れましたから・・・・・・」と自慢している人に意思決定を任せると大変なことになってしまうわけです。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

 『現代の経営[下]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社) 
 

  『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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