優先順位の分析

2013年04月15日

 ドラッカーの『経営者の条件』の第5章より引用します。

 優先順位の決定には多くのことがいえる。しかし優先順位の決定について最も重要なことは分析ではなく勇気である。
 優先順位の決定には、いくつかの重要な原則がある。すべて分析ではなく勇気に関わるものである。第一に、過去ではなく未来を選ぶ。第二に、問題ではなく機会に焦点を合わせる。第三に、横並びではなく独自性をもつ。第四に、無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。

          P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第5章p151より引用

 
 優先順位の決定に重要なことが「勇気」だなんて、いかにもドラッカーらしいですね。

 原書を見てみますと、確かにcourageという言葉が出てきます。

 先日参加した読書会では、ある参加者から、第四の「変革をもたらすものを選ぶ」という点について、なぜわざわざ変革をもたらすようなものを優先せねばならないのだろうか?という疑問が出されました。

 分析をして優先順位を選ぶと、当たり前のつまらない決定になってしまうでしょう。当たり前のことを優先にしていては、過去と同じ成果を出すことはできても、大きな成果をあげることはできないからではないでしょうか。

 この本の題名が"The Effective Executive"(成果をあげる経営者)でありますように、ドラッカーは常に成果を念頭において考えていますから、成果の上がらない優先順位の決定は意味がないわけです。

 四つの原則はすべて、普通に選んでしまいそうな選択の逆をいっています。

 ちなみに原書から引用しますと次のような文章です。

Pick the future as against the past;
Focus on opportunity rather than on problem;
Choose your own direction -rather than climb on the bandwagon; and
Aim high,aim for something that will make a difference, rather than for something that is "safe" and easy to do.

”The Effective Executive” p111


 "Aim high" ですよ!(この部分はとばされてしまって訳されていませんね。)

 この優先順位の選択にはどうしても「勇気」が必要であるのです。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 ”The Effective Executive” P.F.Drucker (Harper Business)
 

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