ドラッカーの『経営者の条件』の第4章には「人の強みを生かす」という題名がついています。
人の強みを生かす人事とはどのようなものでしょうか。
ドラッカーは次のように述べています。
仕事は客観的に設計しなければならない。人の個性ではなく、なすべき仕事によって設計しなければならない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第4章p108より引用
仕事を客観的に設計することにはもう一つの理由があります。
しかし、仕事を客観的かつ非属人的に構築しなければならないということには、もう一ついわく言いがたい理由がある。すなわちそれこそが組織が多様な人間を確保する唯一の道だからである。人の気質や個性の違いを認め、かつ助長するための唯一の方法だからである。組織における多様性を確保するには、人間関係を人ではなく仕事を中心に構築しなければならない。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第4章p109より引用
強みを生かした人事を行うために、また、多様な人間を確保するために、客観的な仕事の設計が必要であるというわけです。
では、強みを生かした人事を行うにはどうしたらいいのでしょうか。ドラッカーは四つの原則をあげています。(『経営者の条件』第4章p110-127)
(1)適切に設計されているか
(2)多くを要求する大きなものか
(3)その人間にできることか
(4)弱みを我慢できるか
それぞれには詳しい解説があるので、本書をご覧になってください。
強みを生かした人事は、個人や組織だけでなく社会にも関係しているそうです。
かくして知識労働者の時代においては、強みをもとに人事を行うことは、知識労働者本人、人事を行った者、ひいては組織そのものにとってだけでなく、社会にとっても欠くべからざることになっている。
P.F.ドラッカー 『経営者の条件』 第4章p127より引用
組織において強みを生かすことは社会のためでもあるのです。
他の組織のことで「あの人がこの仕事をしているのでは、もったいない・・・・・・」という話をよく聞きますが、まさにその通りなんですね。

参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
参考ブログ:「業績の評価」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e961801.html
Hitoshi Yonezu at 10:00
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