『むしろ暴落しそうな金融商品を買え!』を読んで

2012年12月21日

 吉本佳生さんのご著書『むしろ暴落しそうな金融商品を買え!』を拝読いたしました。

 吉本さんは1963年三重県生まれ、エコノミスト、著述家、関西大学会計専門職大学院特任教授で、ご専門は金融経済論、生活経済学、国際金融論です。『スタバではグランデを買え!』(ダイヤモンド社)他、たくさんのご著書があります。

 長期投資、分散投資は安全であるというのが一般的な常識ですが、この本ではこの常識を真っ向から否定し、新しい投資の考え方を伝授してくれます。
 
 この本で紹介されている投資の新常識の一部をご紹介します。

 日本人にとって長期の外貨投資は大損の危険性が高い

 新興国への投資の全額損失の危険が付きまとうワケ

 分散投資をするなら「株+債券」がいちばん有効

 社債は買うべきではなく、債券を買うなら国債しかない

 メガバンクが日本国債を保有し続ける理由

 なぜ「いずれ値上がりする」と思う資産への投資が危険なのか

   『むしろ暴落しそうな金融商品を買え!』の帯より引用


 興味をそそられるタイトルがいっぱいですね。なぜ?と思いましたが本文を読んでみるとだいぶ納得できました。

 2011年の東日本大震災の後、急激な円高になりました。みなさまはなぜだと思いますか?

 吉本さんの解説は次のようなものです。
 欧米のヘッジファンドなどは金利が安い円でお金を借りて、その資金を米ドルなどに交換して世界の資産市場で運用しています。(円キャリートレードと呼ばれるものです。)
 日本の対外純資産残高は世界一、アメリカの対外純負債は世界一ですから、日本は世界一の貸し手、アメリカは世界一の借り手ということになります。
 経済に影響を及ぼすようなショックが起こると、資産運用を中断して一時的に貸し手の日本にお金が戻りますので、たいていは急激な円高・ドル安が起こるというわけです。

 では、これからはどんな資産運用を行えばいいのでしょうか。

 吉本さんは資産運用で絶対に押さえておくべき条件はたった二つだといいます。
 
 それは、その資産の流動性が高いことと、毎日のように価格がチェックできること、の二つだそうです。

 なんだか拍子抜けするようなことですが、理由は本書を読んでみてください。
 
 そして、これからの資産運用に必要な資質は、①投資相手に惚れ込まず、いつでもすぐに切り捨てられるクールさと、②危なそうな資産にも躊躇せずに投資できる勇気、③毎日りのように情報をチェックするための情報力です。

        『むしろ暴落しそうな金融商品を買え!』p198より引用

 
 コラムで紹介されている堅実な資産運用方法は「変動金利型の個人向け国債と、ネット専業銀行の預金」(p180)ですが、「おわりに」にはオプション取引(ストラングルの売り、買い)をすすめる話も出てきます。

 賛否両論ありましょうが、おもしろい考え方です。金融や投資にご興味ある方はご一読くださいませ。
 
  


 参考文献:『むしろ暴落しそうな金融商品を買え!』 吉本佳生 (幻冬舎新書)
 

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