宇野隆史さんのご著書『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ飲み屋ができる』より引用いたします。
店をやっていると食材の値上がりでコスト管理が厳しくなることがあるでしょ。それで、仕入れ先を変えるなどの対策を考える人もいるよね。でもオレは、長い間築いた仕入れ先との関係を絶って、コスト削減をしようとは思わない。一緒に大きくなってきた「仲間」との信頼関係は、コスト削減よりも断然価値があるからね。
『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ飲み屋ができる』より引用
コストが高いという理由だけで仕入れ先を変えるのは、私もあまり感心しません。営業上、初めて取引する会社には良い条件を出すということもありますから、価格だけで判断するのはおかしいです。
宇野さんの述べているように、仕入れ先とお互いに長い間築いてきた信頼関係を大切にしたいと思います。
うちの会社では公式な文書では「仕入れ先」とは呼ばずに「お取り引き先さま」と呼んで、従業員たちに上下関係のような立場でものを言わないように指導しています。
そうはいっても、従業員から「対応が悪いので、違うところから仕入れたい」と相談されることがあります。そのときには、次のことを確認します。
①価格が安いというだけで動かないこと。
②どういう会社か調べてみる。
③商品がよい、情報が正確で早い、サービスもよい、よく動いてくれる、信頼できるなど、何をとっても良いなら、検討してもよい。
④今まで取引していた会社には、こちらが不便に思っていることを説明して、改善してもらえるか、聞いてみる。
⑤それでも改善してもらえないなら、変えることもあるだろう。
食品には鮮度やもののの良し悪しがあるので、長い間にわたって取引をしないと、良いかどうかは分かりません。平均してみてよいかどうかわかるには一年くらいかかるでしょう。
古くからお付き合いしているお取り引きさまのなかには、適当にやっていれば何とかなるだろうという甘えがでてしまっているように感じられるところもあります。実際に裏切られたこともあります。
二代、三代にわたってお取り引きさせて頂いてる会社もあります。そういう長いお取り引き先さまと別れることは忍びないことです。一方で、経営者としての責任回避も許されません。
継続的によい商売ができるように、取引に関してはお互いに厳しく対応していきたいものです。

参考文献:『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ飲み屋ができる』
宇野隆史 (日経BP社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| 読書感想 経営書