知識労働者が生み出すもの

2013年02月19日

 ドラッカーの『経営者の条件』第1章より引用します。

 知識労働者は、それ自体が独立して成果となるようなものを生み出さない。溝、靴、部品などの物的な生産物は生み出さない。知識労働者が生み出すのは、知識、アイデア、情報である。それら知識労働者の生産物は、それだけでは役に立たない。それらのものが意味をもつためには、他の知識労働者がインプットとして使い、何らかのアウトプットを生み出してくれなければならない。いかに膨大な知識であっても、行動と姿勢に反映されなければ意味がない。したがって知識労働者は、肉体労働者が行う必要のないことを行うことが必要となる。すなわち、成果をほかの人間に供給することである。

         P.F.ドラッカー『経営者の条件』第1章p21-22より引用


 知識労働者の対として肉体労働者という言葉が使われているので紛らわしいですが、ドラッカーのいう知識労働者とは、教師や医師や研究者など、頭を使う難しそうな仕事をしている人を指すのではありません。

 どんな仕事をしていてもそこになんらかの付加価値をつけたり、生産性をあげたりできる人は知識労働者といえるのです。その意味でどこにでも知識労働者はいます。

 肉体労働者と翻訳されている言葉は原文ではmanual worker となっています。
 リーダーズ英和辞典第2版によれば、a manual worker で肉体労働者という訳が紹介されていますが、manualという英語には「手の、手動の、手細工の」という意味もあります。

 組織が成果をあげるために、知識労働者たる者は自分でつくりあげた知識を組織内の他の人に常に供給します。その知識が組織にとって価値のあるものにしていかねばならないのです。
  
  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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