年の瀬を迎え、お忙しくお過ごしのことと存じます。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
この秋、家電メーカーの業績予想が日本の経済、社会に暗い影を落としました。
繰り延べ税金資産の取り崩しがあるとはいえ、2013年3月期連結決算の最終損益予想において、パナソニックは7650億円の赤字(12年3月期は7721億円の赤字)、シャープは4500億円の赤字(12年3月期は3760億円の赤字)を発表し、無配に転落しました。
ともに過去最高益を発表した2008年3月期の当期純利益は、それぞれ2800億円、1000億円程度です。これらと比べると、この二年連続の赤字幅がいかに大きなものであるかが分かります。パナソニックの都賀一宏社長が自社について「普通の会社ではない」と述べた所以です。
2002年から2009年にわたる73か月の景気拡大はいざなみ景気と呼ばれました。円安と低金利政策が、北米、新興国の強い需要に牽引されて、わが国の輸出関連産業の業績を底上げしました。大企業の国内回帰、外資系企業の投資により不動産価格が上昇したことも大きな下支えとなりました。
2008年9月のリーマンショック以降は、世界が同時に不況に陥りました。いま考えるとアメリカでもバブルのような状態だったわけです。
需要の牽引役がいなくなり、円高も進行したために、わが国の輸出関連産業の競争力は年々落ちました。人口の減少は止まらず、内需を促すような政策もありませんでしたので、消費も冷え込んでいます。
いま、各国の経済や企業は、否応なくグローバル経済の流れに飲み込まれてしまいます。
かつての日本企業は明るく、夢をもって生き生きと活動していました。
昭和7年5月5日、パナソニックの創業者松下幸之助さんは、大阪で開催された第一回創業記念式典で松下電器の将来と産業人の使命について経営理念を公表しました。のちに水道哲学と呼ばれるものです。
産業人の使命は貧乏の克服である。その為には、物資の生産に次ぐ生産を以って、富を増大しなければならない。水道の水は価有る物であるが、通行人が之を飲んでも咎められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである。産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に楽土を建設する事が出来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る。
『神様の女房』より引用
内容は古いですが、人生を幸福にしてこの世を楽土にするという松下さんの意気込みは伝わってきます。
私も産業人の端くれとして、お客さまのお役に立って、明るい話題を提供できるようになりたいと思います。
師走の衆院選の結果がわが国をよい方向に進めるものであることを願っております。
一年間のご愛顧に心より御礼を申し上げます。みなさまの弥栄とご多幸をお祈りいたします。とうかよいお年をおとりくださいませ。

参考文献:『神様の女房』 高橋誠之助 (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ささやタイムズ記事