ホスピスは形ではない

2012年09月12日

 望月智行さんの『いのち輝くホスピタリティ』より引用いたします。

 川越胃腸病院には現在、緩和ケア病棟=ホスピスは設置されていません。ホスピスは、施設や職員数など一定の条件を満たせば承認されますが、それだけでホスピス機能が成り立つものではありません。医療制度下の承認こそ取得してはいませんが、私たちはホスピスに匹敵するほどの環境づくりに努力しています。
      
               『いのち輝くホスピタリティ』より引用


 ホスピスで家族を看取った経験から述べさせていただきますと、私にとって一般の病院は戦う場所で、ホスピスはやすらかな癒しの場所でした。

 末期のがんの患者さんにとっては薬の副作用が大変苦痛なものになることがあり、場合によっては、副作用を伴っても病気と闘うのか、最後の生活の質を優先するのか、選択を迫られるような事態になることがあります。

 もう静かにすごしたいということであれば、ホスピスも選択の一つになります。

 痛みに対するケアは一般病院とホスピスではまったく違うものでした。

 亡くなった家族が外科での診察をあきらめて、初めてホスピスでの診察をうけたとき、先生から「いまの1000倍くらいまでは痛みを抑えられますから安心してください。」と言われたのを覚えています。

 家族は24時間好きなときに病室に入れますし、他の患者さんに迷惑がかからない限り、猫を連れてきたり、好きなものを食べたり飲んだりすることもできます。お花見やパーティーなども企画されていました。

 川越胃腸病院はホスピスのような対応をしてくださっているのだな、と思いながらこの本を読み進めていましたが、ご紹介した文章が出てきて、確かにそうだ・・・・・・とうなづくことができました。

 私はホスピスでうけた温かい医療を忘れることはありません。

 望月さんはこの文章の後に「終末期医療では、在宅での療養と看取りが理想の形であることは間違いありません。」と続け、さらに「しかし現実の例を見ると、かなり厳しい壁が立ちはだかっています。」と述べておられます。

 私の亡くなった家族はいろいろな経験を総合的に判断して、自分でホスピスを選びました。

 温かく迎えてくださる病院があって本当にありがたかったことでした。 

  


 参考文献:『いのち輝くホスピタリティ 医療は究極のサービス業』 望月智行 (文屋)
 

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