質を高めることを目標にする

2012年09月01日

 朝夕、日ごとに涼しくなってまいりました。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
 日ごろは大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
 
 さて、企業の経営に携わっておりますと、他社の成長ぶりが耳に入ってきます。景気のよい話を伺うと、うちも早く企業規模や売上高を大きくしなくては~とあせることがあります。

 では、会社の規模を大きくすることに専念してしまってもよいのでしょうか?

 小宮一慶さんのご著書『こんな時代に会社を伸ばすたった一つの法則』の中に、企業経営についての「質量保存の法則」の話が出ていました。
 質量保存の法則とは「化学反応の前後で、それに関与する元素の種類と各々の物質量は変わらない」という法則です。

 ほとんどの会社が、規模を大きくしようと奮起しますよね。その気持ちを抱くことは悪いことではありませんが、規模を大きくすることを目的化することは、もうお分かりのように、宇宙の原理に反します。宇宙全体では、絶対量は増えないのですから。

        『こんな時代に会社を伸ばすたった一つの法則』より引用


 質量保存の法則が効いているこの宇宙においては、売上や利益を増やして規模を大きくすることよりも、質を高める努力をすべきだ、というのです。

 質を高めれば、相対的に質の低いところの売上や利益が減りますから、結果として量が増えるのです。量を増やすこと、規模を大きくすることありきで仕事をするのではなく。質を高めることを目的に置くことが、宇宙の原理に合っていることになります。

        『こんな時代に会社を伸ばすたった一つの法則』より引用


 質を高めるためにはどうしたらいいのでしょうか。

 経営計画を立てていくときも、「質を高めるための計画」を念頭に置いて考えなくてはなりません。いくら売上を上げるか、いくら利益を出すかと、まず数字ありきで計画を立てる会社のほうが圧倒的に多いのですが、それは明らかに宇宙の原理に反しています。
 商品やサービスの質をいかに高めるか、ここを基準に目標を立てなければなりません。その結果、いくら売上を上げればいいか、利益を出せばいいのかを考えていくというのが正しい事業計画の立て方です。

          『こんな時代に会社を伸ばすたった一つの法則』より引用

 
 経営計画というと売上や利益の数字をいかに達成するかという話が中心で、質を高めることを目標にするという発想はあまりありません。
 しかし、数字をいじったり転がしたりしているだけでは、あまりにも漠然としてバーチャルな印象をぬぐえません。数字は実体の結果として後からついてくるものだからです。

 本来、経営を進めるにあたっては経営理念を達成することが最優先課題のはずです。理念に向かって経営するということは、質を高めることと同義でしょう。

 もしも当社の経営理念が「規模拡大」や「利益増大」だったとしたら、お客さまは確実に離れていかれます。
 「規模拡大」や「利益増大」の文言の入った経営理念をいまだかつて拝見したことがありませんが、実際には日々の営業活動に流されて、そういう経営になってしまいがちなのではないか・・・と思います。
 
 上場企業のみなさまには笑われてしまうと思いますが、こういう考え方ができるのは中小企業だからこそです。(逆にいえば甘えかもしれませんが・・・・・・)
 
 規模や売上を議論するよりも先に、私の足元にはまだやるべきことがある、と反省した次第です。

 季節の変わり目でございます。どうぞお身体に気をつけてお元気にお過ごしくださいませ。みなさまのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

 今月もどうぞよろしくお願いいたします。 

  


 参考文献:『こんな時代に会社を伸ばすたった一つの法則』 小宮一慶 (海竜社)
 

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