状況の圧力の下で

2012年05月07日

 ドラッカーの『経営者の条件』より引用します。

 トップ本来の仕事は、昨日に由来する危機を解決することではなく今日と違う明日をつくり出すことであり、それゆえに、常に後回しにしようと思えばできる仕事である。状況の圧力は常に昨日を優先する。
 また、状況の圧力に支配されるトップは、トップ以外の誰にもできないもう一つの仕事、すなわち組織の外部に注意を払うという仕事をないがしろにしてしまう。その結果唯一の現実であり唯一の成果の場である外部世界の感触を失うことになる。なぜならば、状況の圧力は常に内部を優先するからである。
 状況からの圧力は、未来よりも過去を、機会よりも危機を、外部より内部を、重大なものよりも切迫したものを優先する。

                 P.F.ドラッカー『経営者の条件』より引用


 一般スタッフの仕事は、過去、危機、内部、切迫したものに対応できていればよいでしょう。むしろそこに集中してほしいと思います。

 社長は「状況に流されて」あるいは「状況の圧力のもとで」スタッフの仕事をやってみたくなったり、指導したくなったりします。スタッフの仕事上の間違いや効率の悪さなどが目につくからです。

 しかし、ここで手を出して直す役割を担う人は、その担当の上司です。

 スタッフのすべき仕事を手伝えば、スタッフには「手伝ってくれていい社長だなあ」と喜ばれるかもしれませんが、これはそのときの瞬間的な喜びです。

 これを続けていたらトップが本来やるべき仕事をおろそかにしていることになります。
 
 お客さまにご満足いただけていない苦しい中、恥ずかしい中で、社長は「では経営としてはどう直したらよいのか」という命題を探すべきなのです。

 トップは未来、機会、外部、重大なものに目を向けなくてならないのだ、と思います。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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