目下の人に傲慢な人

Hitoshi Yonezu

2012年04月14日 10:00

 森信三さんの『修身教授録』の第32講「目下の人に対する心得」より引用します。
 
 ところで面白いことには、目下の人に対して傲慢な人に限って、多くは目上に対して阿る(おもねる)人が多いということです。つまり目上の人には慇懃すぎるほど馬鹿丁寧な人に限って、ひとたび目下の人に対すると、急に横柄な言葉になる人が多いようです。こういう人は、自分のそうした態度がいかにもさもしいかということが分からないのでしょう。

                   森信三著『修身教授録』より引用


 広辞苑の「阿る」の解説によれば、「おも」は面、「ねる」は練るで、顔を左右に向ける意があるそうです。「機嫌をとって相手の気にいるようにする」という意味です。

 「さもしい」は見苦しい、みすぼらしい、卑しい、卑劣である、心がきたない、などの意味です。

 森さんは二面性のある人について随分厳しい指摘をされているのです。

 あまり親交のなかった方と初めて食事などをするときに、こういう面を見てしまって、とてもがっかりすることがあります。サービスしてくれる人に対する態度を見たときです。

 途上国のレストランではお客さまが横柄なので、サービスする方もニコリともせずにつまらなそうに仕事をしています。お皿を投げるように置いていく人もいます。
 先進国ではスタッフを呼ぶときも"Sir" "Madam"などと敬称で呼びますから、サービスする方は楽しそうに活き活きと働いている方が多いです。楽しく過ごして頂こうという気持ちが伝わってきます。 

 子供の頃から、大人のこういうところをときどき見てきました。大人は子供には分からないだろうと思っていますが、実は子供は大人の行動をよく見ていて、知らず知らずのうちに心に刻んでいるのです。
 
 私の知人には傲慢な方はおられないので本当にありがたく、楽しく過ごさせて頂いております。

  


 参考文献:『修身教授録』 森信三 (致知出版社)
 

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