仕事に打ち込むとき
白取春彦さんの『生きるための哲学』より引用します。
人に仕事が必要なのは、そこから得る賃金でさまざまな支払いをしたり、過剰な贅沢をするためではない。人は、仕事によって良い人間となることができるからだ。仕事をこなしていくことで少しずつ良い人間になり、総じて良い人生を送れるようになる。
たとえば、仕事に打ち込むことによって、悪から離れることができる。妄想や悪をなす時間と機会を仕事が奪ってくれるからだ。犯罪者やギャンブラーを見れば明らかだ。彼らは自分の仕事に身を打ち込むことを知らない。
『生きるための哲学』より引用
「大切な人を亡くして悲しかったら、一心に念仏を唱えなさい。そうすれば、少なくともその間は、悲しさから離れることができるから」という話を聞いたことがあります。
同じような理屈だと思いました。仕事に打ち込むことができれば、少なくともその間は悪から離れることができます。
良い仕事をすることで、悪から離れ、良い人間になる・・・・・・
そのためには、打ち込んでいる仕事が社会に価値をもたらすものであるべきです。
現代の仕事はほとんどの場合、組織で行われています。一人で仕事をしている人のほうが圧倒的に少ないでしょう。
そうなると、仕事に打ち込むといっても、その仕事の内容は組織に依存する部分が非常に多いです。
組織の中で一人がんばるということも大切ですが、一人の力ではどうしようもない部分もあります。
仕事を通じて良い人間になるためには、良い組織に所属していなければなりません。
仕事において、もはや自分のことだけで済まされることはなくなりました。組織との関係を避けるわけにはいきません。
個人として仕事に熱心に打ち込む、と同時に、所属する組織がいかなる理念をもっているか、ということも問われるわけです。
参考文献:『生きるための哲学』 白取春彦 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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