『日本と世界を揺り動かす物凄いこと』を読んで
増田悦佐さんの『日本と世界を揺り動かす物凄いこと』を拝読いたしました。
増田悦佐さんは1949年生まれ、一橋大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院を修了され、ニューヨーク州立大学助教授を経て、現在は外資系証券会社などでアナリストを務めておられる方だそうです。
扇動的な題名のとおり、日本経済、世界経済に対する増田さんの見解が過激に述べられています。
連日のように取り上げられる日本の国債問題ですが、増田さんはアメリカの国債の方が問題であるといいます。
アメリカの国債と州政府債権の対GDP比は87%と言われていますが、どういうことなのでしょうか。
では、ファニーメイ、フレディマック、その他の政府が支援したり保証したりしている、日本で言えば「半官・半民」の機関がしょっている負債をすべてまとめるとどうなるか?
二六三パーセントである。これは日本のGDPに対する政府負債比率と似たようなものだ。
さて、これに企業や家計の負債を加えるとどうなるか?三一一パーセントになる。
さらに、オバマ大統領が選挙のマニフェストで公約したように、ソーシャルセキュリティやメディケアでここまで払いますよ、という約束分まで加えると?現時点で一〇〇〇パーセントを超えてしまう。
『日本と世界を揺り動かす物凄いこと』より引用
詳しい計算方法は示されていませんし、企業、家計の負債や大統領の公約分まで加えることはどうかと思いますが、ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)やフレディマック(連邦住宅金融抵当公庫)などの住宅ローンの保証会社の債務については考慮すべき問題と思います。
これらの保証会社はサブプライムローン問題、その後の金融危機、また経営陣の不正などでマスコミにたびたび登場しました。最近はあまり名前を聞きませんが、いまだ政府の管理下にあり、まだ問題は解決されていないということです。
日本がバブル崩壊後、金融や不動産の不透明さが問題になり、その処理に大変時間がかかったことを考えれば、2~3年で解決できる問題ではないでしょう。
著者の日本に対する愛情が強くこめられている部分が多い本です。一つの意見としてご参考になさってください。
参考:『日本と世界を揺り動かす物凄いこと』 増田悦佐 (マガジンハウス)
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