恋の話をすると

Hitoshi Yonezu

2011年09月27日 10:00

 『人間交際術』の初版は、1788年に出版され大ベストセラーになりました。

 著者のアドルフ・F・V・クニッゲは、1752年にドイツ貴族の父の家に生まれた「男爵」で宮廷人です。1780年に宮廷から身を引いた後、流行作家の一人として名を馳せたそうです。
  
 『人間交際術』はドイツではいまでも人づきあいのバイブルとして読まれ、「人づきあい」といえばクニッゲとまで言われているそうです。
 
 服部千佳子さんが翻訳されたこの本は、宮廷での交際術など不要な部分を削って、現代で使える交際術として編纂されています。

 見開き2ページで一つの話が完結しているので、大変読みやすい本です。
 
 当たり前のようなことも多いのですが、ときに、なるほどと思わせるようなことが書いてあります。

 『人間交際術』より引用します。

 相思相愛の真実の恋をしているなら、その喜びは一人でひっそりと味わいなさい。その恋がもたらす恵みを他人に自慢するのも、相手に対して仰々しく表現するのも控えましょう。
 (中略)
 その喜びは口に出したとたん価値を失い、品位を保ってやりとりをすることが難しくなります。

          アドルフ・F・V・クニッゲ(著) 『人間交際術』より引用


 結婚式に参列して新郎新婦のなれそめの話などをお聞きすると、「あてられてしまいますが」、それはお幸せそうで大変楽しいものです。

 しかし、日常生活にもどってまでもずっと二人の話ばかりをされたら、恥ずかしくて、聞いていられなくなってしまいますね。これが日本における文化だと思います。

 クニッゲのいっていることはそういうことなんだと思います。
 
 アメリカなどは周りがどういう状況であろうと積極的に愛の表現をしていく文化ですが、日本では少し慎みます。

 クニッゲが書いている文章を読むと、ドイツ人は日本人に近い部分があるのかもしれない、と感じます。

 ま、この文章は私には関係ありませんがね・・・・・・。

 

 参考文献:『人間交際術』
          アドルフ・F・V・クニッゲ(著) 服部千佳子(訳) (イースト・プレス)
 

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