太平洋側と日本海側のリンク

米津仁志

2011年09月10日 10:00

 寺島実郎さんの『世界を知る力 日本創生編』に、日本の貿易総額に占める相手国の比重が紹介されていました。

 2008年 米国14% 中国17% アジア45%
 2010年 米国13% 中国21% アジア51%
 
 たった二年の間に、大きな構造変化が起きていたのです。

 アジアのダイナミズムはますます進んでいくことでしょう。

 寺島さんは、東北の復興とは、被災地に堤防と街並みを再建するという単純な話ではなく、太平洋側の各県と日本海側の各県をリンクさせ、双方の相関で復興させていくことが重要だ、と述べています。

 2010年時点で日米貿易の2.5倍もある米中貿易の物流は、日本海を抜け、津軽海峡を行き来しているのだそうです。
 
 日本海側の港から、韓国・釜山を経由して、中国やASEAN諸国へとつながる海上貿易の流れを太くするために、山形県の酒田港を宮城に、新潟港を福島にリンクさせ、それを効果的につなぐことを提言されています。

 東日本の被災地が太平洋の方面ばかりを見るのではなく、日本海側とともに復興していくべきだ、というアイデアは斬新です。

 植物は太陽の方向へ向かって伸びていきますが、国家戦略も意思と環境によって変化させていくべきです。

 太いネットワークが東北を何本も横断する時代がくるかもしれません。

 私は日本海の寂しい漁港や砂浜で釣りをするのが好きですが、もしかしたら将来は巨大な船舶が往来するルートに、なんてこともありうるのです。

 我が国の政治が総合的、戦略的なアイデアでデザインを描き、いままでより大きな力が発揮できるような復興が進めばよいなあ、と思います。

 

 参考ブログ:「『世界を知る力 日本創生編』を読んで」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e815083.html

 参考文献:『世界を知る力 日本創生編』 寺島実郎 (PHP新書)
 

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