強い日本?
「日本は強い国」
「日本の底力を信じている」
大震災後、メディアを通じてこのような威勢のよいメッセージがよく流れました。
元気の出る言葉を聞いて、安心感を覚えた方も多かったのではないでしょうか。
私も惨状を見聞きするにつれ、何の根拠もありませんでしたが、日本はきっとよくなる、日本はよい方向へ変わるんだ、と祈るような気持ちで毎日を過ごしていました。
寺島実郎さんは、『世界を知る力 日本創生編』において、このような根拠なき希望論が幅を利かしている状況は決して健全なものではない、と述べています。
1923年の関東大震災を振り返れば、震災後、日本はそれまでの国際協調路線から、力の論理に引っ張られ、力の誘惑に負けていくなかで、1931年の満州事変、その後の日中戦争へと突入していくことになってしまったのです。
大東亜戦争のときも、国民は根拠のないメッセージに支配され、悪い意味でまとまっていました。
寺島さんは、皆が「どうでもいいから何とかしてくれ」と思考停止状態になり、力による統一に下駄を預けてしまうと悲惨な未来へ運ばれてしまうことがあるのだ、と注意を喚起しています。
強い国、明るい未来、幸せで豊かな生活などなど、美辞麗句は山ほどありますし、わたしたちもそういう力についていきたいと願っています。
ただ、簡単なことではないのです。そこへたどりつくためには、何らかの労苦がともなうことになるでしょう。
いまだに大変な思いをされているみなさまを、日本全体で援助していかねばなりません。
寺島さんの文章を読んで、いくら元気が出ないといっても、妙な虚勢をはるのはよいことではない、と考えておりました。
参考文献:『世界を知る力 日本創生編』 寺島実郎 (PHP新書)
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