人生の深さ
今朝の三面記事を読んでいて思ったのですが、世の中には、なぜこんなことで?という、私には理解できない理由によって、恐ろしい事件を起こす人がいるのですね。
発端は些細なことなのですが、自分の心の中で勝手に悪く増幅させてしまうのでしょう。
森信三さんは、『修身教授録』の「人生の深さ」という講義で次のように述べています。
すなわち人生を深く生きるということは、自分の悩みや苦しみの意味を深く噛みしめることによって、かような苦しみは、必ずしも自分一人だけのものではなくて、多くの人々が、ひとしく悩み苦しみつつあるのだ、ということが分かるようになることではないかと思うのです。これに反して、人生を浅く生きるとは、自分の苦しみや悩みを、ただ自分一人だけが悩んでいるもののように考えて、これを非常に仰山なことのように思い、そこからして、ついには人を憎んだり怨んだりして、あげくの果ては、自暴自棄にも陥るわけです。
森信三 『修身教授録』より引用
では、人生を深く生きるためにはどうしたらよいかというと、過ぎ去った過去を忘れずにいて、それを活かして、相手の気持ちを察し思いやることだ、と森さんは述べています。
いじめられた経験を忘れ、自分が上級生になった途端、下級生をいじめたり、子供の頃にされて辛かったことを大人になってから子供にしたりというのは、過去を忘れている訳ですから、人生を浅く生きているということになるのでしょう。
いままでこういうことをされたから、私はこうするんだ、とお返しをするかのような論理や、あの人がやっているから私もやるんだ、というような論理は、どうも私には理解できません。
少々嫌なことをされて、自分は損をしているな・・・という立場の方が、その逆よりも、ずっと気が楽で、幸せだと思いますが。
参考文献:『修身教授録』 森信三 (致知出版社)
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