着眼高ければ、即ち理を見て岐せず。

Hitoshi Yonezu

2011年07月06日 10:00

 齋藤孝さんの『最強の人生指南書』は、幕末の儒学者、佐藤一斎の『言志四録』を解説した本です。

 その中より引用します。

 着眼高ければ、即ち理を見て岐せず。(録・88)
 
 出来るだけ大所高所に目をつければ、道理が見えて、迷うことがない。

 人は、自分の利益を自分の快楽にだけ直結させていると、どうしても視野が狭くなっていきます。ですから成長するとともに、意識的に視点を少しずつ上へ持っていくようにすることが大切です。
 そうして視点が高くなれば、全体と自分の関係が見えてくるので、自分の利を捨ててでも全体にとって利となることをするのが、最終的にはプラスになるのだということがわかるようになるからです。

                齋藤孝著『最強の人生指南書』より引用


 齋藤さんは、人が成熟するとは自己中心性を離れることだ、と述べています。
 
 仏教の唯識の教えによれば、私たちの潜在意識には、第七末那(マナ)識という、煩悩が生まれる場所があるために、何も考えないで行動していれば、我欲がわき自己中心的になりやすいのだそうです。


 優れた経営者には、私心をもたないことを宣言している人が多いですね。

 京セラ創業者の稲盛和夫さんは、企業経営をするうえで、

 「動機善なりや」

 「私心なかりしか」
 
 と自問しているそうです。(『心を高める、経営を伸ばす』より)

 ユニクロの柳井正さんは、私利私欲を超えて成長を続けることが個人と会社の存続にかかわってくる、と述べています。(『柳井正の希望を持とう』より)

 立派な経営者になればなるほど、私心がなくなっていくのですね。

 日々の生活や経営活動で、???と感じたときには、自分の着眼点が高いところにあるかどうか、大所高所に立って考えているか、私利私欲ではないのか、確かめたいことです。 

 

 参考文献:
 『最強の人生指南書』 齋藤孝 (祥伝社新書)
 

 『柳井正の希望を持とう』 柳井正 (朝日新書)
 

 『心を高める、経営を伸ばす』 稲盛和夫 (PHP)
 

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